グローバリズムの果てに民主主義が破壊される

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現代社会は自己責任、勝ち組負け組、稼いだ者が強いとそうった風潮が蔓延しています。

私の仕事でもそうですが儲けること、言わば利益至上主義という企業は非常に多くあります。

もちろん、企業は利益集団ですから間違っているとは言いません。しかし、同時に社会の公器であるという根本を忘れている企業が幅をきかせ、真に顧客のため社会を良くすると言った理念は飾りとなってしまっている現状で、そのような企業は負け組となるといった悪循環が発生し続けています。

私はこの状況が生まれた背景には新自由主義とグローバリズムというイデオロギーが企業や民衆の考え方を、利己的にしていると判断しています。

この記事では、この原因が正しいか誤っているかを分析してみたいと思います。参考になれば幸いです。

新自由主義とは何か?

新自由主義というイデオロギーは

「自己責任」「小さな政府」「市場原理主義」「弱肉強食」「グローバリズム」

という考え方に立脚している言えます。

これまで正しいかどうかの検証はされてこなかったことで、未だこの路線で政治が動いています。

新自由主義という考え方が生まれたのは、それを代表とする政治家としては英国のサッチャー大統領、

米国のレーガン大統領、小泉純一郎元総理大臣といったところでしょう。

またこの新自由主義を標榜する政治家は必ず「長期政権」となります。

考えてみれば当然で、国民に自己責任を押し付けるわけですから、

所得の低い人は「市場競争での敗者」となり、仕方ない、

政府に責任を押し付けるなとならざるを得ません。

国民の生活が困窮しても自己責任、企業が政府の政策によって市場競争が激しくなり、

価格を下げて、結果倒産しても自己責任となるので長期政権になるに決まっているのです。

個人レベルで言えば私だって、努力を全くせずに政府批判をし、義務を果たさず権利ばかりを主張している人を見ると「とんでもない奴だな」と思いますが、新自由主義路線の中では努力をしても報われにくくなってしまうのです。

当然ながらこの新自由主義が良いとする人間は基本的にその時点で既に成功者だったり、生活に余裕のある高所得者だったりします。

新自由主義と新古典派経済学は同一である

新古典派経済学

は、市場原理主義、競争原理、自由貿易、グローバリズム、規制緩和といった市場絶対主義とも言える

経済学です。

こちらのブログで解説しているように、新古典派経済学は実社会では到底考えられない前提を用いて、現実経済を論じ、政策に影響力を発揮します。

経済学者は嘘をつく

新古典派経済学についての解説や批判はいくらでもありますので是非、確認してみてください。

この新自由主義は新古典派経済学を前提とした考え方です。

つまり、新自由主義の政策は必ず新古典派経済学の考え方に基づき経済政策を実行するということです。

市場原理主義=弱肉強食

であることは間違いありません。

最後には負け犬は死ねということになります。

現実には生活保護がありますが生活保護が受給できずに心中した家族もいます。

新古典派経済学では基本的には彼らを自発的失業者と断じます。

京都認知症母殺害心中未遂事件という事件ですので是非調べてみてください。

グローバリズムは絶対的な善なのか?

新自由主義、新古典派経済学ともにグローバリズムを推奨します。

グローバリズムとは国家間の「ヒト・モノ・カネ」の自由な移動をできるだけ拡大しようという考え方ですが、何故彼らはグローバリズムを善とするのでしょうか?

それは、

「新自由主義者達が利益を得られるから」

これしかありません。

グローバリズムが推進されることで、海外(主にアメリカ)の基準に国内の法律を合わせて、所得の奪い合いをする。

海外と法律を一致させると何故所得の奪い合いが行われるのか。

キーワードはデフレと規制緩和です。

まず法律の規制緩和が行われます。

規制緩和という政策は供給を増やす政策です。

デフレ下という総需要の不足といった環境の中で、

規制緩和が実施されることで、市場参入者が増え市場競争が激化します。

すると必ず勝ち組と負け組に分かれるのです。

負け組になった方は自己責任です。

日本国内の需要が少なく供給過多(デフレーション)なのにもかかわらず規制緩和、構造改革、既得権益は悪と言いながら、供給能力を増やし、激烈な競争に企業(国民)を追い込むといったことをするのです。

この構造改革や規制緩和をして誰が利益を受けられるのかと言えば、それはまず大企業が利益を受けます。(資本力が強い企業)

例えば、それまでインターネットで販売してはいけないとされていた薬が、薬事法の改正でインターネットで販売しても良いということになればまず誰が利益を受けるでしょうか?

もちろん国境を気にしないといったグローバル企業になるでしょう。

因みにこの規制緩和に関して議論する有識者会議である産業競争力会議のメンバーの中には三木谷浩史氏も名を連ねています。

企業経営者が自分の会社への利益誘導とともとれる法改正に影響力を発揮し、限定された業界を勝ち組へと誘導する。

ではその業界以外の声はどうなるのでしょうか?

もちろん無視されます。

地元の政治家、国会議員に陳情するしかありません。

その陳情が聞き入れられ、政策に反映されるかどうかは、その政治家の腕にかかっています。

企業ではこのように勝ち組負け組が分かれます。

では、国家単位ではどうでしょうか?

ギリシャとドイツ

ユーロ圏の勝者と敗者で一番わかり易い国は間違いなくドイツとギリシャでしょう。

通貨が統一されているユーロ圏では、通常の主権国家のように独自の財政政策や金融政策が打てません。

ところが欧州中央銀行はドイツのフランクフルトにあり、ドイツの影響力が強くならざるを得ないことも原因のひとつですが以下のグラフを見てみると、次のようなことがわかります。

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引用:IMF

通貨が同一でなければこういったことは起こりません。

共通通貨でなければ、一方の国(ドイツ)の経常収支が繰り返し積み上がる(=対外資産が増える)状況になった場合には、その国の通貨は他国に対して上がっていきます。逆に、一方的に経常収支赤字が続く国(=対外負債が増える)は、為替レートが下がっていきます。

通貨が国家同士で違うのであれば、経常収支黒字国の通貨が強くなり(通貨高)、赤字国が弱くなる(通貨安)。

つまり輸出競争力の面では、為替レートの調整により、経常収支赤字国が徐々にに有利になっていくのです。

しかし、通貨が統一されていること(為替レートの変動がない)、関税がないことでギリシャに限らず、他のユーロ加盟国はドイツの生産性を上回らない限り、毎年貿易赤字としてドイツに所得を奪われることになってしまうのです。

先ほども述べた通りユーロ加盟国は主権が制限されていますので保護貿易もできません。

(シェンゲン協定、ダブリン協定など)

結果、ギリシャのような負け組国家は必ず対ドイツで対外純負債が拡大し、資金的な融資を受けざるを得なくなります。

そして更なる主権喪失となり、融資を受けたことによる金利の流出というヤミ金融の債務者さながらの状態になります。

これは、帝国主義というのではないでしょうか?

一方の国が、一方の国の主権を奪い、内政干渉を行いそこの国民が負担を強いられ、生活が困窮しても、政府はもちろん誰も助けてはくれません。

見方を変えれば国民の大多数が公平に、低賃金で慎ましい生活をするようになったという人もいるかもしれませんが、おそらくそのような考え方をする人は共産主義者だと思いますが…

ギリシャ国内の失業率も悲惨な状態です。

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引用:IMF

とりわけ問題なのは若年層失業率です。

このままいけば、いずれギリシャは働いた経験の無い40代50代が多く存在するという状態にならざるを得ないのです。

こうなればギリシャ国家は、途上国化の運命を辿ることになってしまうのです

このような結果を生む、行き過ぎたグローバリズムは現代の奴隷制度ではないかと私は考えます。

日本のグローバリズム信仰

このような社会になれば、企業や個人、国家までもが利己的になることは避けられないように思えます。

ましてや我が国は失われた20年と言われるように未だデフレに苦しんでいる状況です。

ノーベル経済学賞受賞者のジョゼフ・スティグリッツ氏も言っていますが、デフレとは「総需要の不足」です。

この需要が無いという環境で、規制緩和、構造改革などをし、競争を激化させれば、限られたパイの中で企業も個人も生き残るために、誰かの所得を奪わなければ、生き残れないという状況になることは想像に難しくないと思います。

全体の需要は増えてないのですから、各企業が大投資を行い、技術革新でもして新たに市場を創れれば、もしかすればなんとかなるかもしれませんが、デフレという状況で投資をする経営者はいませんから、より安全な方法、つまり他者(他社)から奪うしかないのです。

誰かが儲かれば誰かが損をするというゼロサムゲームが当たり前になってしまったのです。

もっと言えば若者による振り込め詐欺が多くなったのも新自由主義が原因なのではないかと思ってしまいます。

本来、損をするのは非営利法人や政府のようなNPOだけで良いはずです。

そして、他者の利益を奪うという点で我が国で行われているのは、「民営化」と称した、所得強奪競争です。

郵政民営化や発送電分離、など政府が行っていた事業を民営化することによって、それまで政府が持っていた収益を奪うという行為です。

これは「レントシーキング」というものです。

所得が政府から民間に移転しただけで、全体の量は増えませんから、全体ではあまり意味をなさず、特定の企業だけが儲かるといった結果になります。

未だに多くの日本人はグローバリズムは善、ナショナリズムは悪というような二元論で考えている人が多いように見えますが、テレビに出ているような有識者や評論家でもグローバリズムを私のように捉えている人は極少数です。

というか、主要メディアにはとっては都合が悪いという理由から出ていないように思えます。

デフレという状況やグローバリズムという流れは既に勝ち組になっている立場であれば、とても良い状態です。

何故なら、物価が下がるのに自分の持っているカネはそのままということであれば何もしなくても、自分の持つ資産価値が相対的に上がっていくということになるからです。

デフレを理由に賃金も下げられるし、移民を雇えば人件費も削減できるし、規制緩和、構造改革でビジネスはやりやすくなるし、その上自分のもつカネの価値は上がり、物価が下がっていくのであれば、大抵の人はこのままで良いと思うのではないでしょうか?

まさに利己主義です。

企業が社会や国家など、「公」を考えなくなったのはGHQのウォーギルトインフォメーションプログラムもそうですが、長く続いたデフレとグローバリズムの路線に新自由主義が乗っかり、それらが作った環境に慣れてしまい思考することをやめてしまったのでしょう。

ビジネスは実際にデフレ下、新自由主義路線の中では戦争となり得ます。

企業も必死で戦って生き残ったのに、インフレになってそれまでの努力が単に政策のバカさ加減が原因だとは認めたくないでしょうし…

企業がその姿勢であれば、その企業で働く従業員達も企業側の姿勢を受け入れざるを得ません。生活がかかっていますから当然といえば当然です。

普段、政治に興味がないという人でもこのように政治の影響を受けてしまうことに一刻も早く気付いて頂きたいと思います。

新自由主義とグローバリズムは民主主義を破壊する

これまで書いてきたように、グローバリズムが極限に行き着いた世界は新自由主義の目指すところです。

ですが、新自由主義が極まれば必ず各国の主権を奪うことになるのです。

TPPが良い例です。

TPPは英文で6000ページもある国際条約ですが、これはラチェット規定であるのと同時にISD条項もあるため、我が国はその条約が「日本国の法律」ということになってしまいます。

つまり、日本国民は日本国民の為の法律や文化を守ること、規制、安全保障政策などができなくなってしまう可能性が非常に高いのです。

一言で言えば、

「日本人が日本のルールを決められなくなる」

ということです。

これは正しく、民主主義の崩壊です。

勝ち組による負け組に対しての奴隷制度とも言えるかもしれません。

マイナンバーによってどこに行くにも監視され、全てのインフラは民営化され、道路はボロボロ、停電が頻発、自分が食べている物がどこで作られているかもわからない、病気にかかっても民間の保険に入っていなければ実費で支払うことになり、払えなければ借金を背負わされ、水道料金も電気料金も跳ね上がり、同一労働同一賃金というスローガンの下、国民の大多数が派遣労働者あるいは、業務委託労働者となり毎日15時間以上働いて、子供も満足に養えず、犯罪が増え、警察も有料化され、最終的に生きていくためには、命を掛ける民間の傭兵会社で使われ、業務中に犯罪者からの攻撃でケガをし、果ては命を落とす。

これでも自己責任だからしょうがないとなります。

このような世の中になる可能性だってあるわけです。

もちろん勝ち組になれば悠々自適なんでしょうが、人間に生まれてこんな野生動物以下の社会は私でも絶対に御免です。

現在も過去も日本は常に他国の侵略を受けているということをひとりでも多くの日本国民が知ることで、私服を肥やすのみの政治家をしっかり働かせることができます。

ぜひ考えてみてください。

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