新自由主義の不死身ぶりは異常


新自由主義とは1980年台ころから台頭したイデオロギーです。

市場原理主義による経済政策は、「弱肉強食」であり、これまで我が国の経済も社会も、国防ですら壊してきました。

低成長、失業率、格差、金融市場の安定性、技術開発などにおいて、ブレトンウッズ体制の頃よりも劣った結果となったことはリーマンショックから明らかになったのにも関わらず、この新自由主義というイデオロギー未だに幅を利かせているのは何故なんでしょうか?


多くの論者が新自由主義の危険性や弱点、欠陥を明らかにしているのに、今も我が国は新自由主義路線を走っています。


このイデオロギーの強さの源はどこにあるのでしょうか?





何故、新自由主義は死なないのか?

今回の記事ではこの辺りを考えてみたいと思います。


そもそも新自由主義とは何か?

冒頭でも書いた通り新自由主義というイデオロギーは、1980年代頃から台頭したイデオロギーです。

その頃は、1930年台ころの世界恐慌の教訓から単純な市場原理主義は誤りと認識されていました。

1980年代以前は福祉国家とか平等主義といったイデオロギーが盛んになっていて、その反動もあってか急速に新自由主義のイデオロギーが流布されていったのです。


新自由主義の特徴


小さな政府

新古典派経済学に基づく市場原理主義

新古典派経済学に基づく経済政策

グローバリゼーションの推進


一言で言えば、「弱肉強食」の世界を創り出そうという考え方です。

弱肉強食の世界ですから負けた者は「自己責任」と一蹴します。


正にるろうに剣心の志々雄が支配している世界と言えます



市場原理主義に基いて自由な市場競争をした場合には「民営化」、「規制緩和」などに則した構造改革が善となります。

しかし自由な市場競争で経済を活性化させると言いますが、我が国の経済成長率はご存知の有様です。

これがシカゴ大学を本拠地とし、ミルトン・フリードマンを教祖とも言うべき「新自由主義」の世界です。





国営の事業を民間で行うように圧力をかけ、ビジネスチャンスを掴もうとするレント・シーキングが目立ち始めます。

新自由主義は、自己責任と言いながら、スタートラインが全く公平ではないということには目をつむり、格差を拡大していきます。

つまり、金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏にと中間をなくしていくのです。



新自由主義はグローバリゼーションを標榜するので、格差拡大に寄与します。

それは、企業が安い人件費を求めることで海外に生産拠点を移す結果、日本の雇用が減少します。

雇用が減少すれば失業率は当然上がり、失業した人はより安い海外で生産された物を消費していきます。

そうなることで、日本国内の所得は減り続け、日本国内の賃金が低賃金労働を輸出できる国の賃金に近づいていくのです。


一言で言えば「賃金の平準化」が発生します。



企業の視点で言えば、より人件費の安い国に生産拠点を移すという「底辺への競争」が行われています。

グローバリゼーションの影響、デメリットは以下の記事で詳しく書いておりますので、参考にどうぞ。

帝国主義とグローバリズムは根がひとつ

グローバリズムの果てに民主主義が破壊される

グローバリゼーションのデメリット〜自由な社会の行く末〜

グローバル化で日本人が困った6つのこと

安全保障を考えない国家は滅びます「◯◯がないだけで自由は奪われる」



あまり言われてないように思いますが、我が国のようなデフレ経済ではこのような、新自由主義的な政策は、

デフレを固定化させる


効果があるのです。


デフレを固定化することで利益になる者

デフレ経済とは?

まずデフレとは何なのかということですが、一言で言えばデフレーションとは、

大衆が貧困化すること」です。

デフレーションを説明する場合、多くの側面がありますので一言では説明しづらいですが、

結果として”大衆が貧困化してしまうことであると言えるのです。




デフレは、通貨の価値が上がり、相対的に物やサービスの価値が下がります。

企業は取り扱う商品を販売するために販売価格を下げます。


販売価格を下げることで、企業の利益は減少します。

利益を減少させないために企業がまず行うことは人件費のカットです。



そうなることで失業率が上がります。

失業者が増えれば、消費は減ります。




消費が増えないことで、更に企業はコストカットを進め、人件費以外の投資や、業務で使用する備品等のコストも抑えるようになるので、それらの備品等を販売している企業も打撃を受け、コストカットの方向にいきます。


更に、消費が減るようになり物やサービスの価格も、賃金も下がっていくのです。




デフレはバブルが崩壊することで発生します。

バブル期というのは、多くの人間が負債を負って、値上がり益を求めて投機に走ります。

負債を負って”投機をすることで、投機された金融商品や不動産は価格がみるみるうちに上昇します。


その時に政策金利の利上げや、企業倒産の情報などから一気に全体が”売り”に走ります。

売り逃げることができた人はいいですが、損失が発生した人は、追加証拠金、いわゆる追証を求められます。



資産価値が半分になっても、負債の金額は変わりません。

大衆はバブルが崩壊すれば、負債を返し始めます。



借金を返すという行為は、消費でも投資でもありません。

因みに借金を返した時に「お金は消える」のです。


そもそも借金という行為は未来の所得の前借りですので”貯蓄”という側面があるのです。





デフレになった場合、デフレになったその時に「お金」を持っている者が有利となります。

これからどんどんデフレは深刻化する」と考えることは、

今持っているお金の価値が何もしないでも上がっていく

ということにもなるので、既にお金を持っている者は投資を控えるようになります。


またデフレ経済で投資しても「儲からない」と判断することが合理的な判断となるのです。


デフレの方が都合が良いのは誰?

新自由主義の政策は基本的に供給を増やす政策のみです。

つまり、「総需要の不足」「供給過多」というデフレ状態で、供給のみを増やす政策です。


それが、規制緩和、民営化などの新古典派経済学の教義に基づいた構造改革ということです

つまり、新自由主義というイデオロギーの政策がデフレ圧力を促すことは、既にお金を持っている

支配層」にとって都合が良いのです。



支配層にとって困るのは、自分が支配層の地位から脱落することです。

インフレにならないように政策を打つという新自由主義的な政策は、「通貨」の価値の維持が目的と言うことが出来ます。

その反インフレ政策の利益を享受するのは、言うまでもなく、支配層となってしまうのです。



要は

デフレ圧力を促す新自由主義的な経済政策は、主流派経済学の教義を、政策に割り当てるために支配層にとって都合が良い」

となるのです。

支配層からしてみれば、デフレであれば通貨の価値は下がらないし、安く消費も出来るし、低賃金で働かせることができるしと良いことづくめなのです。

だとしたら、新自由主義を標榜する政治家は、支配層の支援を受けている可能性があるということになります。

まあ受けてるんですが。


新自由主義のイデオロギー新古典派経済学が理論的には破綻していながら、更に、ポール・クルーグマンやローレンス・サマーズなどの主流派経済学者が積極財政論を主張するようになっても、今もなお社会的に幅を利かせられるのは、この辺りに大きな原因があると考えられます。



ここまでをまとめると、

「新自由主義を支える支配層の政治力」

があると考えられるのです。



支配層にとってメリットになる政策ばかりが推進されるという理由もありますが、私が考えるに、背景には1970年代の先進国のインフレーションと低成長にあるのではないかと思っています。

インフレーションになった場合、経済的な地位の脅威になるのは支配層です。



第二次世界大戦後は、多くの需要があったためにその需要から労働者階級の地位が向上し、相対的に支配層の地位が低下してしまったことは間違いありません。


それでも経済成長をしていれば、支配層の所得も増えていくので自己の地位を現実的に脅かすことはなかったはずです。


しかし、1970年代からの低成長時代から、支配層の所得の大きなシェアを占める「利息と配当」が少なくなり、それを脅威に感じた支配層が、自己の権力維持の為に「新自由主義思想」を浸透させる計画を始めた可能性があるのです。



そもそも新自由主義思想における市場原理主義は世界恐慌時に一度廃れています。


さらに2008年のリーマンショックで市場原理主義の理論が破綻していながら、未だに生き永らえていることを考えると、「政治力と金」という大きな力が働いていると考える方が自然です。



新自由主義者は、常に綺麗な言葉で大衆を騙します。

小泉構造改革でもそうだったように、現在もその路線であることは水道民営化や主要農作物種子法廃止から観ても、明らかです。


その支配層が「ウォール街」を代表する金融機関であり、企業であり、その政治献金は莫大なものとなるのです。

多額の選挙献金をし、政府中枢の主要ポストにその金融機関の人材を送り込み、政策の決定に関与することまでやるのです。



トランプ大統領のブレーンやクリントン元大統領、ブッシュ元大統領のブレーンには必ずゴールドマン・サックスの人間や、ベアー・スターンズなどの金融機関の人間が入り込んでいます。


TPPで有名なフロマンはクリントン政権時、財務省首席補佐官を務め、その後シティグループに移り、その後USTRに移ったのです。



彼らは新自由主義思想の流布のために、研究機関や財団、メディアなどに資金を提供します。

その一例が、アメリカンエンタープライズ研究所、ヘリテージ財団、アダム・スミス研究所などです。

そこから、IMFや世界銀行に影響していったのです。



つまり、新自由主義思想は、教義的あるいは、政策的に正しいか間違っているかではなく、プロパガンダ手法によって流布されたということです。



でなければ、民主主義国家において新自由主義という経済成長もさせず、失業率も上昇させ、賃金も低下させ、格差拡大を促す思想が、長年「正しい」とされていることの説明がつかないのです。




視点を変えると新自由主義の欠陥は他にもあります。

例えば、大学に対する補助金に関することや政府の研究開発費などの政府の予算の支出先に対する民主的なチェックが及ばなくなることがあるのです。


新自由主義は公益の観念が薄い思想なので、政府の技術開発は短期的な成果を期待されるので、短期的に成果を出すことにのみ予算が配分されていくことになってしまいます。



大学の英語化や、研究開発費に予算がカットされることなどはその代表的な例です。


国防や、未来の国民に対しての投資は本来長期的な視点で、技術開発をするための予算を配分するべきですが、新自由主義は、短期的な成果、短期的な利益、わかりやすいこと、が重要視されるので、我が国はこのままいけば、20年後には我が国からノーベル賞はおろか新技術も開発されることはなくなってしまうことでしょう。


今政府は、安全保障問題はさておき「観光」に重点を置いているようなので、イギリスの二の舞になる可能性が非常に高いです。


新自由主義はどこまでいっても「個人」であって、その「個人」は支配層のことなのです。


まとめ

新自由主義思想が不死身な理由は

「支配層の政治力によるプロパガンダで成立している思想」

であるということになります。



とは言え、この問題には複雑な要因が絡み合っていることや、裏が取れない情報もあるのでより深い考察の余地は残っています。


それでも現実の状況から判断すれば可能性は低くないと私は思っています。

我が国の財務省と金融機関とメディアが結託した言わば

財金報複合体」が存在していることを考えれば尚更あり得る話です。

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