「蛇口を回せば水が出る」日本人にとって当たり前になっていることです。
それも安く、公園や公共の場所には無料で飲めるところもあります。
しかし、この当たり前が当たり前でなくなるかもしれないのです。
以下の動画は麻生副総理が会見した時の様子です。
はっきりと「水道の民営化をする」と言っています。
海外では水道の民営化は普通だから日本もするべきということなのでしょうか?
実際に水道の民営化をしてどういう結果になった国があるのか見てみたいと思います。
追記
水道の広域化促進へ法改正案を閣議決定
水道の民営化でどうなるのか?
ボリビアの場合
ボリビアは南米にある大きな国です。
ボリビアの水道の民営化で生じた結果はすでに有名かもしれませんが以下の動画が非常にわかりやすいので参考にしてみてください。
コチャバンバ水紛争
ボリビアの水道の民営化の流れは以下のようなところです。
世界銀行の主導でボリビア主要都市コチャバンバの水道事業民営化
(ベクテルの子会AdTが運営する)
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水道料金の急激な上昇(月収の約1/4)
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水道料金を払えない家庭は容赦なく水道を止めた
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払えない人々が井戸を掘ったり、バケツに雨水を貯めたら、水源が同じだとして雨水を貯めることを法律で禁止、井戸からも使用料を徴収 した
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やむを得ず泥水を飲んだ子供が命を落とすことが多発
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市民団体が警官隊と衝突して暴動化、軍による弾圧
ボリビアは世界銀行の融資を受け入れたことで、民営化と緊縮財政を強要されました。
世界銀行から融資を受ければ必ず緊縮財政と民営化などの規制緩和はもれなく付いてくるというほど当たり前になっています。
それを一手に請け負ったのがアメリカに拠点を置く多国籍企業のベクテル社です。
元々ボリビアはアメリカと貿易協定を結んでいなかったのですが、ベクテル社はボリビアがFTAを結んでいる国を経由してボリビアに入り込んだようです。
グローバリズム、グローバル企業の問題点のひとつがこれです。
グローバリズムにおいては企業は「国を選ぶ」ことができるので、企業はビジネスチャンスを得るためにどこにでも行けます。
ベクテル社が入り込んだところは必ずなにかあると言われています。地震や紛争です。
ベクテル社は日本では明石海峡大橋のボーリング工事や、青森県の日本原燃六ヶ所再処理工場の工場設備建設に技術参加しており、羽田空港と関西国際空港、中部国際空港のターミナルビルの建設工事にも関わっています。
ベクテル社はモンサントと並び非常に悪名高い企業ですので、検索すればいくらでも情報が手に入りますので気になる方は調べてみてください。
フィリピンの場合
97年8月、ラモス政権下でフィリピン政府が世界銀行の提案を受け入れてマニラの水道事業を民営化しました。
詳しい内容は以下のリンクに書いてあります。
概ねボリビアと同じ結果になっています。
フィリピンの MWSS 民営化の呪い: 民間経営の失敗と労働者の災難
途上国を食い物にする世界銀行の手口
世界銀行は国家にお金を貸す組織です。
これら水道の民営化にも世界銀行が融資と引き換えに、インフラ事業の民営化と緊縮財政を強制しています。
民営化とは政府が行っていた事業を民間が行うようにできる法改正のことを言います。
法律というのは民主主義国家であれば本来、国民が選挙を通じて国会議員を選出し、議会で議論を尽くし決議され法律になるものです。
世界銀行が行ったことは、有り体に言えば「金を貸してやるから法律を変えろ」と言っているに等しいわけです。
融資と引き換えに法律を変えられるのであれば、民主主義が否定されることはもちろん、金を持っている者が全て支配できるということになってしまいます。
個人レベルや企業レベルでは普通に行われていることですから、ある意味身近に感じられるかもしれません。
企業経営者であれば銀行の鬱陶しさはお解りになると思います。
個人で言えば金を貸した方は借りた側に対し、圧倒的優位な立場になります。
それが国家レベルで行われていることに当初大きなショックを受けたことを憶えています。
水道の民営化以外にも中東などで世界銀行が行った手口は共通しています。
1 途上国や石油などの資源がある国に融資を持ちかけ、融資と引き換えに新自由主義的な政策(緊縮財政や民営化)を押し付ける。
融資された資金はベクテル社やアメリカの石油メジャーなどの企業に回ります。
2 自由貿易協定の強制
これらに加えて、ヒト・モノ・カネの自由な移動を強制し、融資された国の国力を落としていきます。
TPPにISD条項がありましたが、融資された国の政府が自国民を守ろうとした場合に法規制を設けたら、国家賠償の対象になります。
最終的には武力によらず国家そのものを牛耳ることができるのです。
このようにグローバリズムは世界銀行の戦略であることがはっきりわかります。
生活インフラは100%民間にしてはいけない
ヤマト運輸の最近の報道もそうですが、物流や食糧、医療、軍事、水、電気、ガスなどは国民の生命に直結する「安全保障」です。
何故、元々は国家が運営していたのかを考えれば理解できます。
民間がこれらの事業を行えば当然に利益優先の運営にならざるを得ません。
一企業が赤字で倒産しました、なので水は出ません、電気も使えませんといったようなことを防ぐために国家が運営するのです。
電気やガスは国民に対しユニバーサルに提供されなければならない設備です。
どんな手段を講じても国民を守らなければいけないという使命を持つ政府がこの体たらくであることを理解しなくてはいけないのです。
もちろん、100%国営では問題も生じます。
特にインフレ時は政府によって守られているので、生産性を上げるような努力をしない傾向があります。
その時にはその問題を提起すればよいのです。
我が国はデフレなので供給能力を増やすような経済政策をすべきではありません。
20年やり続けてこの有様ですので、考え方を変えるしか無いのです。