博多駅前陥没事故は序章に過ぎない

先日、博多駅前の陥没事故がありました。

復旧作業は一週間ほどで完了したようで、これだけ早く復旧ができる日本の技術力には、本当に凄いと感じます。

このように技術もあり資材もあり資本もあるこの事自体が大変な財産だということに気付いていない人も多いのではないかと思います。

実際、メディアやネットの記事を観ていると「凄い!」とか「素晴らしい」とかそういった評価はありますが、ただそれだけなのです。

技術が失われていく日本

我が国は、御存知のとおりバブル崩壊以降、正確には、橋本政権以降に公共事業叩きが始まりました。

バラマキ」、「癒着」、「談合」という言葉を聞けば、悪いイメージを感じるはずです。

その上、デフレ経済の中で国民のルサンチマンが醸成され、96年以降は毎年、公共事業の予算はカットされていきました。

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公共事業は具体的には公的固定資本形成といいます。

それが、当時の半分以下になってしまったことで、需要は生まれず、そのような状況のため民間の設備投資も減少し、誰も金を使わないという、デフレの国ではあってはならないことが起こったのです。

デフレ経済は更に少子化も促進させるため、経済の三要素である「ヒト」「モノ」「技術」のパワーが失われていくのです。

人が少なくなれば、生産年齢人口の特に若年層が少ないということになれば「技術の承継」が困難になります。

技術は当然ながら、下の世代から下の世代へ継承されていきます。

その対象がいないということになれば当然技術は失われていくことは想像に難しくありません。

技術が失われることでどうなるのか?

私達が死ぬぐらいの期間まではまだ大丈夫かもしれませんが、子の世代、孫の世代が社会の主役になった時にはもしかしたら、発展途上国になるかもしれません。

何せ技術はありませんから。

だったら外国の企業がやればいいじゃないかと思うかもしれませんが、そう簡単にはいきません。

この発想はあくまで「平時」であるという前提がなければ成立しません。

また、我が国は地震や水害も多く、地域によってどのような災害が起こってきたのか地名でわかるという説があるくらいです。

そのような、地域性も知らない外国の建設会社がその地域に住む人達が満足の行くしっかりとした工事が出来るのでしょうか?

私も最初は出来るものだと思っていましたが、建設関係の人に聞くと「まず無理だろう」という返答が返って来ます。

建設はそんなに底の浅い技術ではありません。

連綿と続く時代の中、先人達の血の滲むような努力によって進化し、継承されて人々の暮らしを守ってきたのです。

先ほど平時という前提がなければと説明しましたが、平時でも満足のいくモノを作ってくれないのに、有事であればどこの国の企業が請け負ってくれるのでしょうか?

このように言うと「だからこそ平和であることが重要なんだ」とよく言われます。

そんなもの当たり前なんですが、大抵の人はここで思考停止をするようなのです。

その平和を得るために我が国の財産を売り払い、”どこか”の国の属国となり最終的には途上国という結果になった時、彼らは何と言うのでしょうか?

私は先人に対して顔向けできないと感じますし、若い世代から「腰抜け世代」と恨まれ、蔑まれることは必然です。

このままいけばインフラに関する事故は頻発する

先ほど書いたとおり、公共事業は96年の半分以下となりました。

覚えている方もいるでしょうが、数年前に笹子トンネルの天井板落下事故がありました。

9人の命が失われた悲惨な事故でした。

この事故が起きた原因は何なのでしょうか?

社会的にはNEXCO中日本に家宅捜索が入り、結局メンテナンスが不足していたことに帰結します。

しかし、私はNEXCO中日本だけではなくこれまで何も考えずに公共事業をバラマキとレッテルをはり、徒に国民のルサンチマンを煽り、誘導したメディアとそれに乗っかった政治家や御用学者、それにまんまと騙された日本国民全員に責任があると感じています。

コンクリートから人へ」という一見耳触りの良い言葉の中身は、

「将来の国民の安全などどうでもいいから自分に金をよこせ」と同義です。

非常に卑しい考え方です。

公共事業をせず、社会保障を厚くすればもしかしたら国民の手元に現金は残るかもしれません。

しかし、デフレ経済で現金が残れば普通の感覚であれば貯蓄に回るでしょう。

だとしたら、デフレ経済の根本的な解決は果たせず、更にインフラがボロボロになっても気にせず、各地で事故が起こり、ちょっと手持ちの金が増えるだけで、それも貯蓄に回って銀行が国債を買うとなれば、それこそ「バラマキ」なのではないでしょうか?

私はこのような陥没事故やトンネル事故が報道されなくなるほど当たり前に発生するようになるのではないかと非常に不安です。

インフラの寿命は諸説ありますが概ね40年と言われており、人類初めてのインフラの更新時期が来ています。

現代人は、過去の日本人が将来の日本人のために投資をしたのにその将来の日本人は、自分のことしか考えていないということになってしまいます。

これは非常に恥ずかしいことです。

この記事であなたがどう思うかはさておき、是非考えてみて欲しいと思います。

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