アメリカ大統領選挙が始まってからいよいよ佳境に入ってきたドナルド・トランプとヒラリー・クリントンですが、両者の主張は真っ向から対立しています。
TPPは両者共に反対ですが、クリントンはもっと日本から取れるだろうと交渉をやり直すべきという理由で反対し、一方のトランプはグローバリストを利することになるTPPは参加するべきではないといったところです。
先日、数日中に、クリントン、トランプ暗殺か?といったニュースがありました。
要は二人が暗殺されるかもしれず、市民はその為の準備(食料や武器を備蓄しカメラ付き携帯電話充電しておくこと)をすべきだということです。
この両者の主張の構図は、
「グローバリズム対ナショナリズム」
であると言えます。
トランプを支持する層は、低所得者が多く、オバマケアなどの政策によって中流階級から落ちてしまった層も支持しているようです。
アメリカの格差は拡がっている
目次
オバマケアもとてもひどい政策だったようで、市民の不満は恐ろしい程に蓄積されていました。
堤未果 沈みゆく大国アメリカという書籍に詳しく解説してあります。
簡単に言えばオバマケアは国民皆保険制度というものの、社会保障として国民皆保険制度が存在する我が国と違い、民間保険会社や製薬会社を潤すだけのもので、一般市民としては保険料が上がり生活が苦しくなったということです。
堤未果さんも動画の中で仰っていますが、今のアメリカの格差は相当なもので、4人に1人が食糧難であるとのことです。
格差を測るジニ係数も2013年時点で0.39(出典OECD)
で更に広がっているとのことです。
ジニ係数は1に近いほど格差が拡大しているという指標で、1とは1人が国内の富をすべて持っている状態です。
一方のヒラリー・クリントンはなんだか具合が悪そうですが、彼女の政策はやはりこれまでと同じくウォール街を潤す政策です。
選挙は企業にとって商品である
アメリカはスーパーパックと言って、政治献金が無制限に出来るようになっています。
つまり企業にとって選挙が「商品」になっているということです。
通常、軍産複合体やウォール街などのグローバリスト達は必ず両建て(どちらにも献金する)をしますが、ところが今回の場合ドナルド・トランプは大富豪であり、ウォール街から献金を受け取らないという態度が非常にウケているようです。
また、ヒラリー・クリントンはISISに資金を提供していた企業の取締役だったと報道され、少々旗色が悪い状況のようです。
前置きが長くなりましたが、そもそもグローバリズム、ナショナリズムとは何でしょうか?
我が国では冷戦終結後、これからはグローバリズムの時代だと言って自由貿易、規制緩和、民営化などの改革が行われてきました。
イメージとしては地球市民とか、国境を無くそうとかそんなイメージかと思いますが、果たしてそんな明るいものなんでしょうか?
グローバリズムとはヒト・モノ・カネの自由な移動
グローバリズムとはヒト・モノ・カネの移動を出来る限り自由にしようという「考え方」です。
「ルールの統一化」、「国家主権の喪失」でもあります。
市場原理主義、新古典派経済学に即した考え方です。
ところが、このグローバリズムという考え方、イデオロギーは重大な欠点があります。
それは、安全保障を考えた時に全く機能しない考え方であることです。
また、賃金が上がらず、国民の所得を低減させるということもあります。
安全保障とは?
安全保障を考える場合にはまず、軍事安全保障はもちろん食料、医療、物流、防災、防犯、エネルギーの安全保障を考えなくてはなりません。
普段、安全保障と聞くと軍事のことしかイメージしないかもしれませんが、事実これらの安全保障を考えなければ国民の安全や生活、財産、健康、命を守ることはできません。
軍事は言わずもがなですが、外敵から自国を守るためです。
食料は、国民の健康や飢え、飢饉を防ぐため。
医療は、国民の健康、命を守るため
物流は、モノの移動を確保しなければ経済が成り立たないことや、災害時に物資を被災地まで届けるための道路、交通インフラが確立させおくことで国民の命を守ることが出来る。
防災は例えば、津波や洪水などの自然災害対策。
防犯は、警察機構等
エネルギーは国民の生活や企業の運営に欠かせないモノです。
細かくは申し上げませんが考えればわかると思うのでこの程度にします。
これら大きな意味で「国民を守る」ということを目的と定義すると、グローバリズムというイデオロギーはどのような影響をもたらすでしょうか?
軍事は言うまでもなく我が国の現状の通り、アメリカに隷属しています。
言わば植民地です。
現在我が国の防衛費はGDPの1%、約5兆円ですが、これは米軍が駐留しているからこの予算で済んでいるということです。
仮に日米同盟が解消され、現在の安全保障レベルを保つために必要なことは、毎年23兆円以上をかけ10年以上はかかると
防衛大学校の試算で発表されています。
軍事アナリスト 小川和久氏の国会答弁
1:20辺り
我が国は尖閣諸島問題、竹島問題、北方領土問題と安全保障上の問題を抱えています。
それを戦後アメリカに任せっきりだったわけです。
因みに自民党の政権公約の中で、「尖閣諸島に公務員を常駐させる」という公約が未だに守れない理由はご存知でしょうか?
ぜひ考えていただきたいところです。
参考までにこちらのブログをご覧ください。
それは、アメリカの覇権国家としての立場が一挙に崩れるからです。それはまた別の機会で書こうと思います。
次に食料安全保障をグローバル化と称し外資系企業が農地を買うことが出来るとしたらどうなりますか?
日本国民の胃袋は外国に握られるということになります。
例えば、米国ファンドが我が国の農地を買い占め、そこで取れた農作物を日本で売っても儲からないから海外に輸出するということになったら…
極端な例ですが、とても恐ろしいことです。
日本国民は自国内で取れた農産品も自分で食べることが出来ず、輸入された物しか食べられないということになります。その輸入されたものが遺伝子組み換え作物で健康に害のある食料だとしたら…
メイド・イン・ジャパンという表記も参入障壁といって表記されなくなったとしたら…
このような不安がつきまといます。
実はこの食料安全保障は平成27年に農協改革として施行されました。
これからジワジワと変わっていくことでしょう。
医療がグローバル化として薬の価格を上限なく設定されたり、手術のやり方に著作権が設定されたり、国民皆保険制度が市場原理に反するとされ廃止されたりした場合、どうなるのでしょうか?
今のところ薬価には上限が設定されています。
しかしその上限が撤廃されたら、間違いなく保険料は上がるでしょう。
その保険自体も民間の保険会社でなくてはならなくなります。
人の命を守るべき存在であるはずの医療や相互扶助が目的の保険が単純な収益追求方の組織になる可能性があるのです。
他は別の機会に書きますが要は、安全保障(国民を守るための対策)を考えた場合に、グローバリズムの名の下に政治力、交渉力の強い国のルールに統一化されて、国家の目的が果たせなくなってしまうことがあるということです。
また条約というものは国内法よりも優先されますので、国内法でなんとかなるというものではありません。
日米修好通商条約を思い出しますが、これで何が決まったんでしょうか?
不平等条約、治外法権です。日本国内で犯罪を犯した外国人を裁けなくなった。
最終的には二度の戦争を戦い、是正されたのです。
19世紀にイギリスがインドに行ったこと
イギリスがインドを植民地にしたことは有名ですが肝心なことは教科書には載っていませんので説明します。
当時のインドはキャラコという綿製品を作っていました。それもイギリス国内で作られる綿製品よりも品質がよくイギリスの綿市場を席巻していました。
これに困ったイギリスは、インドからの綿製品の輸入を止めつまり保護貿易ですが、イギリスの市場にインドの綿製品が入ってこないように政策転換しました。
インドの綿製品を入れないようにしたイギリスは、綿製品の製造に莫大な投資を行い、イギリス国内で作る綿製品の生産性を劇的に増やすことに成功したのです。
これが第一次産業革命です。
インドよりも高品質で大量に生産できる力を手に入れたイギリスは次に何をしたのでしょうか?
「自由貿易やろうぜ!!」
とインドに持ちかけました。
当時のインドにこのイギリスの要求を突っぱねる力はありませんでした。
イギリスは世界初の法人、「東インド会社」を通し、莫大なイギリス製綿製品をインドに輸出しました。
インドの綿農家は大打撃を受け、失業者が溢れかえりました。
儲かったイギリスが次に行ったことは、インド市場で綿製品を売って得た利益をインドで再投資をし、綿を運ぶための鉄道を敷いたり、食料を作っていた農家を買い取り綿農家にしました。
その為、当時のインドでは深刻な食糧不足で、飢饉が発生し2000万人以上が餓死しました。
このように、帝国主義という時代にはグローバリズムという要素が加わっていたのです。
如何に相手国の所得を奪うかということに重点を置いた、正に弱肉強食の世界です。
相も変わらずテレビなどの主要メディアはグローバリズムは素晴らしい、グローバリズムは善だと撒き散らしていますが、こういった事実も放送しなければとてもフェアとは言えませんし、単なる洗脳装置に過ぎないとも言えます。
本来、平等、平和を謳う左翼陣営こそ、国家主権が損なわれるグローバリズムに反対すべきですが、我が国の左翼は共産党を初め常にグローバリズムは善だとしています。
ナショナリズムとはなんなのか?
ナショナリズムと聞くと軍国主義とか武力によって植民地を得ていくような帝国主義的なイメージを持っている人も多いかと思いますが、本来のナショナリズムというのは「国民意識」つまり国民同士の助け合いのことを指します。
例えば、日本国内にいる人は税金を納めていますが、その税金が外国人の生活保護に使われているとなったら、どんな気持ちでしょうか?
外国から日本へ来て、生活できないから面倒を見ろというのは余りにも虫がよすぎると感じる人は多いかと思います。
年金、健康保険料にしてもそうです。
今は病気じゃなくても、いずれ年を取り病気になり国民健康保険を使うことが多くなることもあるかもしれません。
同じ国民なんだから助け合おうと思うことは極めて自然な感情であると思います。
個人レベルで言えば、「家族と他人のどちらが大事か」と問われれば大抵の人は家族と答えるはずです。
先日のイギリスのEU離脱がありましたが、ヒト・モノ・カネの移動の自由化を推進してきたが為に、ロンドンでは移民に比べイギリス人の方のが少なくなっていたといいます。
イギリス国民も我慢できなくなったのでしょう。
ブリテンファーストと言いながら、残留派の議員を殺した人もいたぐらいです。
また移民政策は取り返しがつきません。
我が国で言えば、技能実習制度で来る外国人の7割は中国人です。
岸田外務大臣は日中韓フォーラムで来日する中国人のビザ発給用件を更に入りやすくなるように10/17日から運用すると発表しました。
安全保障問題を抱えている国の人民に対してこのような政策をするというのはもはや狂気の沙汰としか言えません。
中国には国防動員法という法律があります。
有り体に言えば、我が国が中国と軍事衝突あるいはそれに準ずる戦争状態になった時には、その時点で我が国にいる中国人は私達日本人の敵になるということです。
「そんな中国人が中国共産党の言うことなんか聞くの?」
と反論する方が多くいらっしゃいますが、中国に家族が残っていたら彼らから見ればそれはもう「人質」なのです。
中国人の価値観は「金と家族」以外に大事なものはありません。
残念ながらそういう文化なので仕方ありません。
グローバリズムと帝国主義の行き着く先は同一の結果
これらが全てではなく極々一部のグローバリズムの弊害を取り上げましたが、これだけでも十分問題があると思われる方は多いと思いますし、現実にグローバリズムの是正が叫ばれているこの事実を我が国は参考にしなければいけません。
新自由主義的なグローバリズムの行き過ぎで判明したことは国家も企業も個人も必ず
「勝ち組と負け組に分かれる」
ということです。
グローバリズムを推進しているのは経団連や大手企業です。
移民も受け入れようと主張しています。人件費が安く済むそれだけの理由で。
これは世界的に問題となっています。
「底辺への競争」と言われ、企業が人件費の低い国を求めて工場を移すことで世界的に賃金が上がらないといった状況です。
またグローバリスト達は負け組になった人を自己責任と言って突き放します。
とことん自分や自分の企業のことしか考えていないのです
完全に負け組と勝ち組が分かれた現実は、負け組の人間は低賃金労働で働かされ、企業の歯車となり一生こき使われることでしょう。
低賃金労働が嫌だと言っても移民は本国よりも賃金が良いので働きます。
その割を食うのは一般の日本人です。
いずれは食料や電気、水道などのインフラも民営化され自分が何を食べているのかわからない、光熱費は上がり、消費税もまた上がることでしょう。
晴れて「外国人と日本人の平等」が実現するわけです
中流の人間は下っていき、底辺にいた人間はちょっとだけ上がるといったところでしょう。
この状況はイギリスがインドに行ったことと何が違うのでしょうか?
グローバリズムとは武力を使わない戦争なのです。