少し不謹慎な話をしようかと思います。
先日もブラック企業について色々と書きましたが、個人がどのようにブラック企業に対して対抗すべきかという具体的な方策について書きたいと思います。
この記事の内容を多くの労働者が実践すると、ブラック企業は活動しづらくなるでしょうから、経営者からしてみれば非常に鬱陶しい記事です。
またある意味では、日本経済全体の供給力を減らす可能性もあります。
ですがブラック企業は概ね、「デフレビジネス」を行っている傾向があり、「安くて良い」を標榜していることが非常に多いように思います。
「安くて良いのは従業員の賃金です」と言わんばかりのカスのようなビジネスです。
「価格破壊」という言葉できてしまったように「デフレビジネス」は存在自体が労働者にとっても、デフレ経済である社会にとっても不利益です。
例えば、牛丼チェーンは間違いなくデフレビジネスです。
牛丼屋チェーンに足を運ぶ人は、何を求めているのかと言えば「安く食事ができる」「安くてそれほど不味くない」といった理由がほとんどのはずです。
仮に、現在のこの状況でいきなり牛丼一杯1000円にする企業があったとしたら恐らくその企業は潰れるでしょう。
現在は単価を誰が先に上げるかというチキンレースのような状態です。
牛丼チェーンが結託して一挙に30円ずつ値上げすれば話は早いのですがそれは公正取引法に違反してしまうのでできません。
もう一つ仮に、デフレビジネスである安い牛丼屋チェーンが無くなったらどうなるでしょうか?
その時にその人の所得が上がっていなければ、別の安い店を探すことになります。
あるいは、お弁当を持参するかもしれません。
供給者である牛丼チェーンの食材等を卸している業者は廃業した牛丼チェーンの顧客を失います。
また、牛丼チェーンに食材等を運ぶ運送会社の仕事が減ります。
牛丼チェーンで働いていた労働者は職を失いますが、また雇ってくれるところを探すでしょう。
現在は人手不足の状況なので雇ってくれる企業はそれなりにあるはずです。
運送会社としても現在は需要が多く人手不足の状態なので逆に運賃も低く条件もさほどよろしくない企業の仕事を請けるよりも別の仕事を受けたほうが良い可能性も今や大きいです。
物流業に関しては既にこれまで荷主の感覚であった「仕事を振ってあげてる」といった上から目線は通用しなくなります。
そりゃ運ぶ人がいなければいくらお金を出しても運べませんから仕方ありません。
要はインフレを阻害し、労働者も疲弊し、且つその供給者から仕事を請けている企業も疲弊するようなビジネスは「潰れてもらって結構」ということです。
最近は少し人件費を上げたようですが、その分誰かにしわ寄せが行くのでしょう。
デフレビジネスは誰も喜びません。
喜ぶのは労働者を酷使する経営者とそれに出資する投資家だけです。
そういう牛丼屋で10年アルバイトを積み重ねても大して時給が上がるはずもありませんし、ただのアルバイト10年目でしかありません。
デフレビジネスはアルバイトを正社員登用するなど早々しないでしょうし、せいぜい契約社員登用ぐらいが主となるのではないでしょうか。
デフレビジネスは「人件費を上げる」という選択を極度に嫌がります。
言うまでもありませんが、利益が減るからです。
何故利益が減ると困るのかと言えば、「出資者の配当が減るから」となります。
所有と経営の分離という概念の下、企業の所有者は株主ということになりますから、所有者が一番多くの利益を貰わないのはおかしいとなるわけです。
株主至上主義の為の概念が所有と経営の分離という呼び方になっているだけです。
株主資本主義の現実から鑑みれば、人件費を上げる企業は「無能」、「出資者として儲からない」という判断になりますから、それまで投資していた出資者は資金を引き上げるという選択をすることが合理的な判断ということになります。
また、株主が出資を引き上げれば株価は下落の方向に動きます。株価が下落することはその時任命されている代表取締役としては絶対に避けたい事態です。
先程も書きましたが、仮に今ある牛丼チェーンが無くなったところで、それまでの消費者はどういう行動をとるのでしょうか?
牛丼チェーン以外にも牛丼を出している店はあります。
そういう牛丼ファンは多少高くなっても牛丼を出す店を探して牛丼を食べるでしょう。
しかし、大多数の人は新たな「安くてそこそこ美味しいお店」を行くことになるのは明白です。
別に餓死することもなければ暴動が起きることもありません。
したがって”国民経済”の目的に鑑みると「無くても良いビジネス」ということになってしまうのです。
言い方を変えれば、「デフレを促進する、あるいはデフレを長期化させるビジネス」と言えます。
つまり、自分のことしか考えない企業=デフレビジネスをする企業ということになります。
デフレビジネスで雇われる人間は低賃金で長時間働く外国人労働者も多く、そこで働く日本人も同じ条件ということになってしまえばブラック企業の出来上がりです。
ブラック企業を失くすにはどうすればよいのか?
目次
労働者が社会悪である意識を持つ
まず第一に、ブラック企業で働いているという自覚のある人は、
「自分が社会悪である」
という自覚を持つべきです。
何故、ブラック企業で働く労働者が社会悪なのかと疑問に思うでしょうが、ブラック企業で働く労働者というのはミクロで観れば「企業に搾取されている被害者」ですが、マクロで観れば「ブラック企業経営者をのさばらせることに加担している共犯者」と言えるからです。
非常に酷な言い方かもしれませんが、事実そうであると言えます。
残業代が出ない、人格攻撃をされる、長時間労働などの問題があった時に、そこで働く労働者が勇気を持って会社と「闘う意思」があれば、ブラック企業問題などの問題は起こらないはずです。
経営者が労働者を酷使するのは、労働者を「甘く見ているから」に他なりません。
要はナメられているのです。
労働者は奴隷ではないんです。
どうやらブラック企業問題というのは日本がひどく海外では余り問題になっていないようです。
オックスフォードが教えてくれた 日本のブラック企業問題が世界から理解されない理由
そりゃそうかとも思います。欧米はそもそも契約社会であり訴訟社会です。
彼らは自分の持つ当然の権利が侵害されたと思えば余裕で訴えます。
そういった部分は私も似たようなものです。
私は訴訟というものに全く抵抗がありません。何度も裁判所には行ってますし私をナメたりバカにしたり侮辱したりする人間を放っておくことはしないからです。
労働者は雇用契約している契約当事者でありますし、労働基準法という強い法律に守られているのですから、法の範囲内で権利を行使することは出来るのです。
法律は「知っている者の味方」であり、「権利の上に胡座をかく者」を助けてはくれません。
ブラック企業で働く労働者は以下のように考えているはずです。
「揉め事を起こして会社にいられなくなっても困る」
「日々の業務をやることが当たり前になっているからそんなこと考える余裕もない」
「この会社を辞めたら次に行くあてがない」
「みんなその環境でやってるし自分だけワガママを言う訳にはいかない」
「再就職が面倒」
「家庭もあるし」
こんなところでしょう。
私にこの問題で相談に来た人がいましたが概ねこのようなことを言っていました。
私はその人に以下のように言いました。
「気が弱ぇんだよ」
と。
先程挙げた労働者の言い分をひとつひとつ見ていくと、単に弱い自分を隠して、周りの人を考えている風に言い訳をして、自ら環境を良くしようという気がない奴隷根性まる出しの情けない僕ちゃんだと私は思いました。
家庭があるならなおのこと自己の環境を良くするべきですし、
子どもを言い訳にしてにして闘わない選択をせざるを得ないと言い聞かせていたりもします。
こういったことを言うと「社会はそんなに甘くない」とか「世間知らず」とか言われますが、なら社会がそんなに甘くない理由を説明して欲しいものです。
大抵の場合その人の「思い込み」です。
先程も書きましたが、私は侮辱されたりナメられたり、良いように使われることに我慢できないタイプです。
最初はニコニコしてるものですから軽く扱われやすいですが、一線を超えれば必ず何かしらのアクションを起こすようにしています。
そうしなければ私の周りにいる私を信頼してくれる人達に失礼だと考えるからです。
私自身、揉め事など好きではありませんがやる時にはやるを実践しなければ「口だけ男」になってしまいます。
私を信頼してくれる人達が私を信頼してくれるのは、そこに要素があるからです。
だからナメられっぱなしというのは、私をそれまで育ててくれた親や兄弟、地域社会やご先祖様、信頼してくれる方々などを「裏切る行為」と私は考えているのです。
私は、殺人が人間の肉体を活動不能にすることなら、侮辱はその人の魂、心を殺す行為だと思っています。
魂は殺され続けると何も考えることができなくなります。
惰性や習慣だけで生きていくことになるのです。
だからこそ、洗脳には暴力や罵倒が手法として使われます。
話が脱線して申し訳ありませんが、労働者が当事者意識を持ち、闘う覚悟をし、知識武装して、実践して経営者からぶん取るということが繰り返し行われない限りブラック企業は無くなりません。
選挙が終わってから財務省が次々と増税案を打ち出してきています。
それら増税策が実現すれば更にデフレは長期化するでしょう。
そうなれば国民の実質賃金、可処分所得は必ず減っていきます。
経営者は増税分を消費者転嫁することは極力避けるでしょう。そのしわ寄せは必ず末端である労働者に行くのです。
したがって、まず自分が「社会悪であること」を認識し、「弱い自分」と訣別して、自分を散々利用して魂を殺そうとした経営者に対して闘う意思を持つことが必要です。
ブラック企業を潰す具体的手法
こんな時は「孫子の兵法」が役に立ちます。
基本的には
証拠集め
交渉
通報
の3つです。それを細分化して考えると以下のことです。
まず以下のことを心得て欲しいと思います。
「労働法の知識を得る」
「会社に悟らせない(勤務態度は真面目に振る舞う)」
「会社を調べる」
「証拠集め」
「同僚への根回し(絶対ではない)」
「タイミングを見計らって行動に移す」
最低限これらは心得てください。
労働法の知識を得る
労働法の知識、未払い給与計算の仕方などの基本的な知識は備えておいてください。
以下のサイトは分かりやすいのでオススメです。
会社に悟らせない(勤務態度は真面目に振る舞う)
孫子の兵法には「兵は詭道なり」という言葉があります。
戦争とは所詮騙し合いであるという意味ですが、この場合で言えば、「会社側に気付かれてはいけない」ということです。
真面目に、また勤務態度は落ち度の無いようにしてください。
と言うのも、こちらが正当に法律を根拠とした請求を行うわけですから、こちらは真っ当な態度を貫かなければ、単なる駄々っ子のような印象にもなりますし、後々の交渉も難航することになってしまいます。
何より、人としてどうなのか?ってことになってしまっては仮に目的の利益を得たとしても、それは敗北と変わりません。
ここには細心の注意を払ってください。
会社を調べる
会社を調べるというのは、以下のことです。
「登記」
「出資者(株主)」
「役員構成」
「その他数字に関わること」
これらは孫子の兵法で言う「敵を知り己を知れば百戦危うからず」に倣う手法です。
登記をあげることは基本中の基本です。
登記簿には商号、資本金の額、役員構成、設立年月日、目的、発行済株式の総数などが記載されています。
引用:登記簿謄本取得センター
ここには代表取締役の住所も載っています。
ブラック企業の経営者など、自分さえ良ければという考え方を取っている経営者も多くいるので、代表取締役の住所は足を運び確認しておくべきです。
私の経験上、ブラック企業の代表取締役はタワーマンション、更地、無関係な人の住所だったことが多かったように思います。
出資者は中々調べられないかもしれませんが、もし出資者が判明した場合、出資者が有名企業のグループ会社だったりした場合は実に有効な武器になり得ます。
これは、大企業系が一番恐ろしいと思っているものが「社会イメージ」だからです。
あの有名な会社がブラック企業に出資してましたというイメージが社会に蔓延することは、その大企業にとっては最悪でしょう。
「証拠集め」
証拠集めに関しては、先程リンクを貼ったサイトに詳しく書いてあります。
最近では、ツイッターの投稿でも証拠として採用されるようなので利用しない手はないでしょう。
その他、タイムカードや日記、日報などは当然証拠になります。
証拠集めをする際での注意点は、「タイムカードだけ」、「日報だけ」といったように、ひとつだけに証拠を絞ってはいけないということです。
一言で言えば、証拠となり得るモノは全て取っておくことが重要です。
と言うのも、ひとつの証拠に不備があった場合に他に取っておいた証拠で、不足や不備が補填される可能性があるからです。
もちろん、録音危機も使うべきでしょう。
私はこんな感じの録音機をよく使っています。
スマートウォッチ 型 HD1080P ボイスレコーダー 防犯カメラ 録音ブレスレット 録音 隠しカメラ 監視カメラ 撮影 録音日時記録 Micro SDカード対応 日本語取扱説明書 YURI
ペン型もあるのでうまく使っていただければと思います。
録音は必ず、日付の設定と録音した日に確認しておくということが必要です。
これは、テンション、モチベーションを維持するためという目的と、何より「自分を客観的に観ること」が出来るので、この経験をすることは、当の目的以上に有益なことです。
最初は恥ずかしいかもしれませんが、ひとりで聞けばなんてことないのでナルシストになった気分で聞いてみてください。
同僚への根回し(絶対ではない)
一言で言えば、仲間を増やすということですが一人よりも二人、三人で証拠集め等をした方が会社との交渉はうまくいきやすいです。
しかし、この場合調査の段階で仲間に引き入れようとはしないほうが無難です。
何故なら、証拠も揃っていない段階から根回しをしたり、仲間に誘ったりすると、その人が会社側につく可能性があるからです。
序盤はあくまでも、情報を得る目的で「聞く」に徹するべきです。
しっかりと調査、証拠集め、それを基に労働基準監督署へ行き問題なく取れる段階で労働基準監督署が入る前に根回し、誘いをしてください。
そのタイミングであれば邪魔はできなくなるので、その状況で誘うなり、打ち明けるなりしてください。
その人ももしかしたらそれだけ証拠集め等をやってできると思えばノッてくるかもしれませんし、多少空気を入れておくのと、煽っておくことは重要です。
プラスとして調査したネタを使って会社側に対して他の従業員が反感を抱くような情報を流しておくことも大切です。
例えば「社長の住んでる家って大豪邸らしいよ」とか「社長が女はべらかして飲み歩いてる」とか、適当な「噂」を流しておくことです。
情報操作の意味合いですが、他の記事でも多く書いていますが非常に強力な武器になるので参考にしてください。
わからないことがあればメールでもなんでもしていただければと思います。
戦いは始まる前から始まっているという言葉がありますが、この場合、「情報操作」を活用すべきということです。
タイミングを見計らって行動に移す
これは相当重要です。
行動に移すタイミングが悪ければ、それまで行った調査や証拠集めが台無しになる可能性があるからです。
行動に移す適切なタイミングというのは、
「会社が一番困る時」
です。
例えば、その会社に勤めてればいつ繁忙期があっていつ閑散期になるかはある程度わかるはずです。
会社側が猫の手も借りたいほどの状況になっている時にそんな話を持ってこられたら激高するでしょうが、そんなこと気にせずに、計算通りと考え交渉を始めれば良いのです。
タイミングを間違えれば話もしてくれないということもいくらでもあるので絶対に、会社側が困るタイミングで行ってください。
したがって「繁忙期に行動を起こすべき」ということになります。
交渉の際、証拠も揃えて労基に行く、弁護士の用意があるといった雰囲気をチラつかせれば、意外とあっさり決着がつくこともあります。
また、交渉の際は絶対に一歩も引かない覚悟で望むべきです。
ターゲットは社長のみです。
直属の上司などは単なる下手人という認識で良いので相手にする必要はありません。
色々と宥めすかそうと言葉巧みに近づいて来るとは思いますが、情に流されたら100%敗けますのでご注意を。
最後は労基署に通報という目的で伺ってください。
労基署に相談と捉えられると動いてくれなくなるのでご注意を。
まとめ
ここまでの下準備を行えば、敗けることはまずあり得ません。
会社側が負けを認めている時にする行動は「払いを如何に少なく済ませるか」ということになるので、その時に情を使ったり、他の従業員に同じことをされないよう辞めさせるという手段を講じてくることもありますし、訴えてきた従業員のみ条件を良くするということもあり得ます。
その会社でその後も働きたいのであれば受け入れても良いかもしれませんが私は現実的ではないと思っていますので、判断は各自で行えば良いかと思います。
今回の記事は完全にブラック企業の従業員に向けて書いています。
この記事をご覧になられた従業員という立場の方は必ず行動に移していただければと思います。
ブラック企業経営者の方は、訴えられないように雇用環境を改善することを検討してください。
まずしないと思いますが。
経営者に取って問題とは”顕在化した時に初めて問題になる”という発想ですので経営者がわざわざ従業員の雇用環境を自ら見直すことなどあり得ません。
会社はあなたを守ってくれませんがあなたは守るものがあると思いますので、それを奪おうとするブラック企業に対して容赦する必要はありません。
ドブネズミの駆除くらいに思って、社会貢献が出来る上に適正な給料を貰えるのですから良いことづくめです。
私にとってはデフレビジネスが社会から駆逐されることが重要と考えていますので、ブラック企業で働く方々と利益は一致しています。
ご健闘を祈ります。