戦後、我が国は日米同盟を前提に経済活動を行ってきました。
日本からアメリカがいなくなる。
あなたは想像できますか?
この記事では日米同盟が解消された場合を想定し、我が国からアメリカがいなくなることでどのような影響があるかを考えてみたいと思います。
そもそも日米同盟とはなんなのか?
目次
端的に言えば、日米同盟とはアメリカが我が国の軍事安全保障を担い、
我が国の領土に米軍を駐留させるといった二国間条約です。
これまで、米軍兵士の性犯罪や、米軍機の墜落事故などがあり赤い人達は「米軍は出て行け」と長いこと主張しています。
また、基本的には集団的自衛権は前提として存在しているものされています。
この日米同盟とは我が国の軍事安全保障政策をアメリカに「委ねる」といった側面が問題となります。
冷戦時代はアメリカとしても、ソ連の脅威があり我が国を共産化させるわけにはいかないとして、軍事安全保障をアメリカが担うから、日本は安全保障を考えず、経済活動に集中すれば良いとしたわけです。
日本のメリットとしては、本来軍事に携わるべき技術者が経済活動のみを考えてビジネスをすることが出来るため、また10年先を行くと言われている軍事技術がそのまま民間に反映されるために、急激な経済成長を遂げることが出来たのです。
また朝鮮戦争勃発の特需もあったために、日本経済は高度成長を経験し、バブル経済まで発展していきました。
一方この日本を豊かにさせるといった戦略はアメリカにとっても、メリットがあります。
軍事安全保障をアメリカに依存させれば、経済的な条約の交渉でも日本は強気に出られなくなります。
自衛隊の軍需品はアメリカ製のものですし、ソフトウェアもアメリカ製の為、仮に日米関係が悪化したとしても、日本としては、兵器をアメリカに頼っているため、戦争にすらならないのです。
兵器のソフトウェアを使えないようにするだけでアメリカは日本に対して強気に出ることができます。
ソフトウェアが動かなければ、日本としては手も足も出ないのです。
冷戦が終われば日米同盟も中身も変わる
戦後間もない頃はアメリカも積極的に日本を支援してくていましたが、1989年に冷戦が崩壊した後は、ガラリと態度を一変させます。
日本の技術は、アメリカの経済にも特に車メーカーなどの製造業に打撃を与えることとなりました。
そもそもアメリカの思惑は日本をドル圏へ帰属させることで、ソ連から日本を引き離すことにメリットを見出していたことを踏まえれば、冷戦が終結しソ連が崩壊すれば、日本に塩を送る意味はなくなるわけです。
これを日本政府は理解しているのか甚だ疑問です。
日本の保守層と言われている知識人や一般人にも同じことが言えます。
有体に言えば、
「アメリカとしては冷戦が終われば、日本は経済的な面では敵である」
と言っているに等しいわけです。
その証拠に「日米構造協議」が始まった時期と冷戦終結の時期は、ほぼ同時です。
ここから我が国は、新自由主義、構造改革、規制緩和、市場原理至上主義の台頭、公共事業悪玉論の蔓延などにより、デフレ下での弱肉強食の時代が始まったのです。
アメリカのグローバリズム戦略は90年代から始まった
プラザ合意とバブル崩壊があり、橋本龍太郎元総理が行った金融ビッグバン、消費増税を決断し、その後小泉竹中の構造改革路線で派遣法の改正などの規制緩和、民営化は続き、
それが現在も「国境にこだわる時代は過ぎ去った」と言っているのです。
イギリスがEU離脱という時代の転換期をこの目で観ていても…
アメリカは日本の市場をいかに取るかを考え、じわじわと策を講じてきました。
メディアによるプロパガンダ、地球市民などという言葉がおどり日本国民自身もグローバリズムを推奨していくようになったのです。
グローバリズムを善とすることがアメリカの戦略だという根拠は、「日米構造協議」「年次改革要望書」の中身を見れば、アメリカの要求を日本政府は丸呑みしていることが理解できるはずです。
政治家自身は特に痛みもないので、あっさりとアメリカの要求を受け入れます。しかしこちらの要求が通った試しは基本的に無いのです。
アメリカの東アジア戦略の集大成がTPP
TPPは我が国では既に批准され、後はアメリカ大統領がヒラリー・クリントンになるか、ドナルド・トランプになるかでその後のTPPがどうなるか決まります。
ヒラリー・クリントンは、背後に製薬業界がいますので、現在の条件では納得できないとして再交渉を要求していますし、ドナルド・トランプは反グローバリズムを掲げている候補なので批准することはないでしょう。
今更ですがTPPは24分野に渡る、多国間自由貿易協定ということですが、実際には「管理貿易」です。
本当に自由貿易であるなら、関税はゼロということになりますし、ページ数は数ページで十分なはずです。
しかしTPPの契約書面は6000ページにも及んでいます。
それも英文ですから、流石に日本人としては読む気になりません。
こちらのブログでも書いたとおり、TPPは国家主権を侵害する条約です。
薬価、国民健康保険、食品の表示義務、その土地を知らない業者が入札する公共事業、外資規制の撤廃など挙げればキリがありませんが、こういったルールが民主主義ではなく各国、主にアメリカの政治力で決まってしまうのです。
日米同盟がなくなれば日本は自主防衛できない
現時点でも自主防衛しているとは全く言えませんが、
冒頭で書いたように、軍事はアメリカに握られています。
現在のレベルの軍事安全保障を確立するには仮に日米同盟が解消され、現在の安全保障レベルを保つために必要なことは、毎年23兆円以上をかけ10年以上はかかると
防衛大学校の試算で発表されています。
こちらの記事を参照してください
それを国民世論で後押しできるのかと言えばWGIPに改造された日本人には全く期待できません。
中華人民共和国の脅威がこれほど迫っていてもノホホンとしている日本人には同じ国民ながら呆れを通り越し哀れとまで感じます。
また、昨年に農協改革がありました。
それは食料安全保障と直結します。
日本の農地を利益しか考えていない外資が取得した場合、彼らが日本人に売るのではなく海外に輸出して利益を得ようとした場合日本国内で生産される農産品は、日本人の手には渡らず、外国人の利益のためだけに生産されるのです。
つまり生産高が高くなったとしても、日本人は飢えるという事態が発生する可能性があるということです。
医療も建設も日本人の為に運営されることがなくなり、ただ単に「利益」のためだけに運営されるのです。
ここで通貨まで共通となればいよいよ我が国は51番目の州となるでしょう。
日本政府が日本を守れなくなることは日本人が日本人として生きていくことができなくなるということです。
日米同盟が解消されたらどうなるのか?
間違いなく待ってましたと言わんばかりに中華人民共和国が攻めてくるでしょう。
おそらくそのタイミングでは韓国は中華人民共和国に付くでしょう。
いきなり核保有国相手に戦わなくてはいけなくなります。
だからこそ、10年以上前に防衛費の増額をし、アメリカなしでも戦える態勢それ自体は作っておかなくてはいけなかったのです。
その当時言っていた識者は感情的な反米は良くないとか時代はグローバル化の方向に向かっているとかいわれ無視され続けました。
中華人民共和国の尖閣への行動があからさまになったのは明らかにリーマン・ショックの後ですので、この国は虎視眈々とアメリカが日本から手を引くことを待っているのです。
因みに95年にフィリピンは米軍がいなくなってすぐにミスチーフ礁という島に上陸し、中国漁民を守るという口実で家を強引に建ててしまったのです。
日米同盟解消で最低このくらいはあり得ますしまた、解消と言ってもどのような解消の仕方するのかの前提は無いので、結論はそれによって変わるはずです。
アメリカは日本がいなくてもやっていけます。
シェールガスや石油などの資源は出るし、周りに中華人民共和国のような国は無いし、食料は自国で自国民の分は生産できるし、軍事は最強ですし、アメリカは独自にパラダイスは作れますが、日本は無理です。
資源は、シーレーンを通ってやってくるし隣国もおっかない国ばかりだし、食料は外資に占領されているだろうし、軍事はアメリカいないし、核もないしととんでもない状況となっているはずです。
自主独立を日米同盟があっても並行して考えなくてはいけないのはこういった事態を避けるためなのです。
はっきり言ってもう遅いですが…