パックスアメリカの終焉で起こること

ドナルド・トランプ新大統領の就任式が執り行われました。

盛大に行われたようですが一方で反対派のデモ活動も活発とのことです。

私はアメリカンファーストを掲げるトランプ大統領の姿勢に何と言うか違和感のようなものがあります。

その違和感を明確にしたいと思います。

トランプ大統領のブレーン

トランプ大統領のブレーンを調べてみたところ、国家経済会議(NEC)議長に、ゴールドマンサックスのゲーリー・コーン前社長兼最高執行責任者(COO)を起用するとのことで、更に、財務長官には、元GS幹部でスティーブン・ムニューチン氏が決定しています。

 大統領上級顧問兼首席戦略官に就くのはスティーブン・バノンという人間です。

米海軍やGSを経て、過激な記事が並ぶニュースサイト「ブライトバート・ニュース」の会長でした。

これらの面々がトランプ大統領のブレーンとなるのであれば、正直なところ、オバマ、ブッシュと根本的には変わらないのではないかと思ってしまいます。

投資銀行などの金融を扱う者は、情報が全てと言っても過言ではありません。

政策さえ事前にわかっていれば、儲けることなど朝飯前なのです。

それをインサイダー取引と言いますが、ゴールドマンサックスが行うインサイダー取引はこのように表現されます。

「最先端の金融工学を駆使し利益を生んだ」

アメリカ国民は疲れている

アメリカ国民の世論は基本的にはもうアメリカは他国の戦争や紛争に介入するな、アメリカの若者を戦場に送るなといった意見が支配的です。

それもそうです。中東を民主化するというキチガイじみた野望を持って(真の目的はは石油強奪と基地の設置)イラク戦争を行いました。

またそれに関連して911事件はアメリカ国民の7割がアメリカ政府の自作自演と思っているというCNNの調査もあります。

更にオバマケアや軍産複合体、国際金融資本家などに対する優遇政策や不公平感から憎悪が生まれ、アメリカ国民の特に中流層以下の政府に対する信頼はなくなっている可能性は高いだろうと判断できます。

これもグローバル化の帰結であると言え、個人も企業も果ては国家も勝ち組と負け組に分かれてしまうことが、アメリカ国民の不満やグローバル化疲れに結びついたのではないかと私は考えています。

オバマケアについては堤未果さんのご著書や音声が大変参考になりますので、是非チェックしてみてください。

軍産複合体については以下の動画がわかりやすいかと思います。

アメリカはいつでもアメリカ第一だった

日本の政治家が戦後日本第一であったことは一部例外を除いてなかったと私は思っています。

日本第一に政策を行えばそれはアメリカにとって不利益になる場合もあるのでそれは宗主国様アメリカが許しません。

石井紘基にしても田中角栄にしてもアメリカに逆らった政治家は死ぬか失脚するかどちらかです。

一応、自民党清和会と経世会の政治家の末路を以下に書いておきます。

(田中派)田中角栄 逮捕 ロッキード事件 (←東京地検特捜部)

(経世会)竹下登  失脚 リクルート事件 (←東京地検特捜部)

(経世会)金丸信  失脚逮捕 佐川急便献金・脱税 (←東京地検特捜部&国税)

(経世会)中村喜四郎 逮捕   ゼネコン汚職 (←東京地検特捜部)

(経世会)小渕恵三 (急死)(←ミステリー)

(経世会)鈴木宗男 逮捕 斡旋収賄 (←東京地検特捜部)

(経世会)橋本龍太郎 議員辞職 日歯連贈賄事件 (←東京地検特捜部)

(経世会)小沢一郎  西松不正献金事件 (←東京地検特捜部)

(経世会)二階俊博  西松不正献金事件 (←東京地検特捜部)

(清和会)岸信介    安泰

(清和会)福田赳夫   安泰

(清和会)安倍晋太郎  安泰

(清和会)森 喜朗    安泰

(清和会)三塚 博   安泰

(清和会)塩川正十郎  安泰

(清和会)小泉純一郎  安泰

(清和会)尾身幸次   安泰

アメリカが日本政府に対して進言する(事実上命令)年次改革要望書やその前身の日米構造協議、日米合同委員会などが行われましたが、現実の日本は「構造改革したのにデフレのまま」という笑えないギャグのような状態です。

しかも良くならないのは当然なんですが、彼らは改革が足りないからだ!と信じ、それ以上の規制緩和や民営化などの構造改革を推し進めています。

戦後日本が急速に経済成長をとげた理由の大部分は、戦争後分断され占領され民族の分断がされることもなく、東西冷戦下ではじまり、朝鮮戦争の特需、GATTの交渉でも日本にとって有利な条件、インフラを整えるためにアメリカが支援した、その上、日本人は勤勉な国民性です。

これだけ条件がそろえば大抵の国は成長するでしょうし、このようなアメリカの日本に対する政策や施しのように見える行いは、アメリカの国益のためにやっていただけなのです。

冷戦下という状況で戦後の日本人が貧しいままだと共産革命が起こる可能性があること、西側に組み込んだ日本を未来永劫利用するためには、ある程度は豊かにさせなければいけなかったという動機がありました。

それを証拠に、アメリカは1989年の冷戦終結後に早速

経済の脅威は日本であると」はっきり言いました。

更にTPPでは当時のオバマ大統領が「アメリカに雇用を取り戻す」と言い、それに勘違いして乗っかった国が極東の島国だったということです。

これまでアメリカがアメリカ第一じゃなかったことなどないのです。

世界の警察官は覇権国家である

冷戦終結後の世界はアメリカの一国が覇権を握り、約30年間アメリカを中心としたグローバリズムが推進されてきましたが、御存知のとおり世界の警察官をアメリカが担ってきました。

しかし、オバマは一般教書演説で「アメリカは世界の警察官ではない」と言い切り、その後中国が勢いづいて尖閣諸島、東シナ海辺りできな臭い香を漂わせています。

グローバリズムは覇権国家が無ければ成立しません。

これは「覇権安定理論」と言い、プリンストン大学のロバートギルピン教授が提唱した理論です。

実際にアメリカが世界の警察官じゃないと言った後、更にリーマン・ショックの後に中国が尖閣諸島に攻めてきました。

つまりこれから覇権争いが勃発し、その過程の中で戦争が世界戦争が勃発する可能性も否定出来ないのです。

私自身の考えでは、次の覇権国家は中国ではないと考えています。でももしかしたら願望かもしれません。

100京の浮動小数点演算ができるスーパーコンピューターを世界で一番最初に作られたらアウトですが…

話は逸れましたが、安全保障を考えた時にグローバリズムは致命的な欠陥を持つシステムだということはユーロ圏の惨状を観れば明らかです。

このように次に覇権を取った国が、更に言えばその覇権を取った国に対して多大な影響力のある個人や組織が世界の警察官、言い方を変えれば支配者となるのです。

日本はどうなるのか?

多くの論者が様々に語っておりますが私自身は、以下のように考えます。

日本にとっては、トランプ大統領の閣僚達は金融関係者であることつまりウォール街の連中であること。

金融規制は緩和するということはトランプ大統領は言っています。

もしかすれば局地的に不動産バブルが起きるかもしれません。

元々、トランプ大統領は不動産屋で破産時に莫大な負債を抱えウォール街に救われた過去があります。

とは言え4年間しかないので数字ベースで手っ取り早く成果をだす方策を打ってくるだろうと考えられます。

結局オバマと同じようにゴールドマンサックスに代表されるウォール街に仕切られていますから、何かしらのバブルは起こるだろう推測できます。

資金はドルに集中してドル高になり、輸出の方は良くならないので日本叩きや中国叩きは行われるような気がします。

手っ取り早くとなると金融の力を使うに越したことはないのです。と言うより使わざるを得ません。

アメリカの製造業は期待させるだけさせといて、何も変わらなかったというオチになると思います。

過去のアメリカ大統領はテキトウにバブルを起こし、その間はグローバリズムの欠陥や批判は忘れて、バブル崩壊や何かしらのショックがあった時にまた、「構造改革」なるものをするのです。

恐らくですが四年後トランプ大統領の任期が終わる時は今よりもひどい世界になっているような気がしています。

我が国は未だにグローバリズムだと政界も財界も官界も言っていることやカジノ法案が通ったことを考えると、政治には何も期待はできません。

財政出動を今の倍くらいすれば、デフレ脱却はできますがまずしないでしょう。

国の借金がーと、財政健全化がーとか始まるに決まっています。

政治には何も期待してはいけません。

ひとりひとりが自分の持つ力を知り、それを信じ、テクノロジーによって増大した個人の力で社会を良くしていくしか方法はありません。

いつになることやらですが…

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