我が国でも多くの政治評論家や国際情勢の専門家、コンサルタント、エコノミスト達が「トランプ大統領」が今後どのような政策を実行し、その過程でどのような影響が日本に来るのかといったことについて予想を立てています。
私自身コンサルタントとして活動していますが、基本的にコンサルタントやアナリスト、エコノミストやその他専門家の予想は大抵外れます笑
ですが、コンサルタントの端くれとして、一応の予想ぐらいは立てておきます。
トランプ氏の政策
まずトランプ氏の当選前に主張していた政策は以下のモノです。
・中国&日本を始めとするすべての輸入品に対して20%の関税をかける。
・大統領選に勝利・就任初日に、中国を「為替操作国」に認定する。
・中国のハッカーや模造品に対して規制を強化。
・中国からの輸入品には45%の関税。
・中国の冒険主義を思いとどまらせるために、東シナ海と南シナ海での米軍の存在感を高める。
・米国・ロシア間の協力を増やす。
・メキシコ国境では35%の輸入税を課す。
・メキシコとの国境に万里の長城を築き、不法移民を認めない。
・不法滞在者のメキシコ送金は押収し、メキシコ人の労働ビザや越境手数料を引き上げる。
・イスラム教徒は入国させない。
・シリア難民は受け入れない。
・イスラム国はやっつける。資金源である石油を爆撃。
・尋問について、米国法で禁じられている水責めなどの方法を支持。
・医療目的でのマリファナ合法化を許可する。
・連邦政府の支出の無駄を削る。
・米軍の規模と能力を拡充する。
・日本へは米軍による防衛費を要求する。年5,830億円全額。
・韓国も一緒。
・TPP(環太平洋経済連携協定)はゴミ箱へ放り込む。
・法人税の最高税率を35%から15%に引き下げ。
・年収2万5千ドル未満の単身世帯と年収5万ドル未満の夫婦世帯は所得税を免除する。
・税制簡素化、及び減税(但し、富裕層は増税)。
・相続税は排除。
・金持ちだけが利用できる税の抜け道を潰していく。
と言ったところですが、正に「アメリカ第一」という色彩が濃く見える政策になっています。
しかし、既に言われているように、これら全てを実現することはあり得ませんし、また何をしないと特定することも、基本的には報道レベルでしか知りえません。
なので現時点で考えられる私の予想を述べてみたいと思います。
すごくカタい文章になりそうなので気をつけます。
保護貿易
まず、日本と、中国、メキシコに高関税を掛けることは可能性としては高いと思います。
ご存知の通りトランプ氏はTPPからの離脱を表明しています。
その理由は、TPPやNAFTAと言った自由貿易(実際は管理貿易)は格差を拡大させ、一部の大企業やグローバリストなどにしか恩恵がなく、国境を無くすこの国際条約のために、自国の雇用が外国に奪われているということです。
かつてレーガン大統領が行った日本に対して経済制裁として関税率の引き上げをしたことがありましたが、貿易については「全体的」に、保護主義の姿勢で政策を執っていきます。
財政出動の拡大を行うという主張もあるので、その結果インフラ等の雇用が生まれ保護貿易をすることによって内需主導型のアメリカ経済を実現させるかもしれません。
アジア政策 集団安全保障
日本と韓国に対しての米軍駐留費を全額負担させるということでしたが、それはそれで日本にとっては、米軍が単なる「傭兵」となりますので、これはこれで日本にもメリットがあります。
「全額負担させるんならこちらの要求も飲んでもらう」というのは自然の流れです。
韓国については米韓FTAでほぼアメリカの経済植民地と化しています。
また、朴槿恵大統領が失脚することは既定路線となっており、現時点でも韓国の内政は混乱している状況ですのでどうなるかはわかりません。
しかし、ひとつ言えることは朴槿恵大統領は日本に亡命、あるいは殺される可能性が高そうです。
元々韓国の歴代の大統領は、大統領の座を離れたら、逮捕、自殺、暗殺、亡命の結果になっていますのでこれまた既定路線ということになります。
中国に対しては高関税を掛けて保護貿易を図りますが、アメリカの基本戦略であるFON原則(フリーダムオブナビゲーション)自由航行原則がありますが、仮に日本や韓国から米軍を引き上げたとしたら、中国はここぞとばかりに我が国に攻めてくる可能性は高いように思えます。
そうなったら日米同盟は「アメリカの都合と欺瞞」であることが世界中に広まり、アメリカは国際非難を免れません。
仮にアメリカが情報統制を敷いたとしても、アメリカ国民も日本国民も主要メディアに対して懐疑的であることやネットの情報から拡散されていくことになり隠し通すことは不可能です。
更に、アメリカ国民は戦争それ自体にも、自国の若者が戦死することも許しません。
だとしたら、アメリカとしては米軍を引き上げることのメリットは基本的にはなく、ただアメリカの駐留費を全額負担させるだけで、その他は現状維持が最も効率的であると言えます。
為替レート
人民元は去年報道されたように、SDR入り、つまりIMFの通貨バスケットに採用されることが決まっています。
http://www.imf.org/external/np/pp/eng/2016/093016.pdf
しかし、人民元は固定相場制を採用しているので共産党政府の気持ちひとつで為替レートが上下します。
そんな通貨をSDR入りさせるIMFにも疑問ですが、このことから先ほど書いた中国に対する貿易に対して強気の姿勢を貫くか、あるいはどこか譲歩したとしても中国側にイニシアチブを取られない方法を導き出すはずです。
そのためには高関税とドル安誘導ができる状態には最低限持っていくことでしょう。
格差の是正
労働者層や中間層に対しての減税と富裕層への増税、租税回避を防ぐための国内投資を条件とした法人税減税も絡めて行うとしています。
一言で言えば「内需主導の経済」をやはり作る方向に見えます。
オバマケアの問題は堤未果さんが解説してくれていますので是非参考にしてみてください。
オバマケアの効果は格差の拡大に拍車を掛けた政策となってしまいましたので、ここの是正を行い内需主導でアメリカ国民の所得を増やしていければ良いのですが、おそらくそう簡単にはいかないであろうと私は見ています。
オバマケアには、製薬会社や保険会社の利権がガッツリ入っていますので、いくら大統領でもかなり難しいはずです、表向きにはオバマケアを是正したとされても、実態はそれほど変わらなかったとか、新しい社会保障風の政策を打ち出してお茶を濁すというような気がしています。
日本への影響
我が国からしてみれば、日本経済がデフレ下のままである以上トランプ氏の公共事業や設備投資減税や租税回避を防ぐ方策などは参考にしてもらいたいところですが、これだけ世界情勢が反グローバリズムの方向に動きつつあるのに未だTPPや実質的な移民政策を批准、推進しようとしている我が国の議会には目も当てられません。
トランプ氏率いるアメリカが、中国に対して強気な態度でいたとしても、中国は米国債を市場で売るというカードを切ることができますので、それをやられたら長期金利の上昇、ドル安、そして円高という形で日本の輸出産業はダメージを受けることになります。
仮にそうだとしたら、今からでも日本もインフラに対しての公共投資の増大を行い内需主導型の経済を、デフレ下でのもとで有効需要を作り出していけば持ち直すことは出来るはずです。
問題は軍事を始めとする各安全保障の再生を行わなければ、我が国は発展途上国に逆戻りしてしまう可能性が非常に高いです。
武力による戦争は、アメリカが不当に中東などにある資源国の紛争に対し介入しなければテロリストの鎮静程度で済むと思います。
オバマ政権でもそうでしたが、紛争に介入することはアメリカ国民の世論がNOを突きつけているので、また、メディア自体が戦争プロパガンダを施しても既に信用がないので、国家間の大規模な武力衝突の可能性は低いと言えます。
世界はグローバルからインターナショナルに戻っていき、国家間の摩擦は90年台以降のグローバル化の流れよりは緩和されます。
しかし常に日本は世界の潮流に「最後に乗っかる」ので、日本の方向性はまだグローバル、規制緩和などの新自由主義的な発想で動いていく可能性が高そうです。
まず無いと考えていますが米軍撤退の機運が高まれば憲法9条の改正や、自衛隊のポジティブリスト方式の任務、核武装などは見直しされることになります。
今まで変わっていないのが不思議なくらいなことなので確実に変わります。
核武装はスーパーコンピューター並びに人工知能の発達を考えると慎重にすべきだとは思いますが、いずれにせよ、平和を唱えてればいい時代ではなくなったようです。
ただ何と言うか、人類が政治的にも精神的にも目覚め始めているような気がしています。
またこれまでの物質社会からの変革が直感的にあるような気がします。
なんの根拠もありませんが。