90年台初頭辺りからグローバル化が叫ばれるようになり、いよいよそのグローバル化、正確にはグローバリゼーションは終わりを迎えてきています。
「国境がないことは良いことだ」、「国境にこだわる時代は終わった」、「これからは世界を股に掛けてビジネスをするんだ」、「我々は日本人である前に地球市民だ」など挙げればきりがありませんが、我が国は、通貨を統一し、ヒト・モノ・カネの自由な移動という究極のグローバリズムを実現したユーロ諸国やEU離脱を表明したイギリスを観ても、更に、反グローバリズムを掲げたドナルド・トランプ大統領の誕生を観てもグローバル化を進めようとする、驚愕せざるを得ない国家です。
と言っても、日本国民は基本的に政治に興味を持てないように戦後アメリカに”プログラム”されていますし、グローバル化が良いのか悪いのかも考えていないか、時代の流れだと思っている日本国民が大半だと思います。
プログラムされた内容は以下の記事にあります。
しかし、それはただ日本国民がグローバル化、グローバリゼーションで被害を被ったことに気付いていないだけで、肌感覚ではわかっているのだと私は感じています。
何しろ日本人は非常に頭が良いということと、更に勤勉です。
日本人は真面目だから、真面目に学校の勉強をしたからこそ、”真面目に政治を考えられない”のです。
考えてみれば当たり前です。
真面目に政治を考えないように教育を施しているのですから。
逆に私のように国家や政治を考える人間の方がもしかしたら不真面目なのではないかと最近は考えています。
その日本人の肌感覚が確かだとしたら、それはただ言語化されていないだけなのだと私は考えます。
この記事ではただただ普通に暮らしたい日本人がグローバル化の影響で受けた被害を”言語化”してみたいと思います。
グローバリズムというのは「ヒト・モノ・カネ」の国境を越えた自由な移動をできるだけしようという”考え方”です。
あくまで考え方なので正しいか間違っているかは、その国の情勢、タイミングによって決まります。
給料が下がった、給料が上がらない、ボーナスがでない
目次
90年台前半のバブル崩壊と97年の橋本政権からの緊縮財政(消費税5%)と金融ビッグバンというグローバル化の流れでによって賃金が上がらなくなりました。
出典:経済産業省
理由は上記に書いた原因によって、企業がまず人件費削減に動いたことが挙げられます。
人件費削減というのは、リストラ、非正規雇用の推進、人材のアウトソーシング(外注)、ボーナスカット、給与カット、給与を上げないといった、「企業の生き残り対策」のことです。
一般に雇用されている人達は、多くの場合これらのどれかに当てはまります。
当てはまった人が取る行動は第一に「節約」をして消費を減らすようにし、次に「貯蓄」を増やし、将来の不安をできるだけ取り除こうとします。
給料が下がって上がる見込みもないと思ったらその立場の誰もが取る行動です。
一方の企業の方は、みんな節約して消費しないから販売している”モノ”が売れなくなるので人件費以外にどこを削減しようか考えます。
経費削減、コストカットを社内の標語として従業員に浸透させます。
新たに銀行から融資を受けて投資をするなんてことは基本的に考えません。
「いつの間にかアルバイトや派遣が多くなったな」と感じていたなら大抵この理由です。
企業はとにかく利益を出すためにコストをできるだけカットするように行動するのです。
この活動が日本全体で行われたことで、「デフレが固定化」されました。
デフレを簡単に説明しますと、
1 モノやサービスが買われなくなる
2 モノやサービスが買われないことによって企業の売上、利益が落ちる
3 企業の売上が落ちることで、企業は人件費削減をはじめとする経費削減に走る
4 企業が経費削減に走ったことで従業員の給料が減る、上がらない
5 従業員の給料が下がったり上がらないということで、「消費」を減らし「貯蓄」を増やす。「貯蓄」までお金が回らないということもよくある。
6 繰り返し
これがいわゆるデフレスパイラルというものです。
この時点で「需要と供給」の供給の方が多いということがわかります。
モノが売れなくて人件費削減してるわけですから、企業は供給を減らそうと努力しているのです。
何故かというと需要がないからです。誰も欲しがらない、売れないからです。
ここに「泣きっ面に蜂」とも言うべきグローバル化の波が押し寄せます。
グローバル化で更にデフレが加速
日本の当時の情勢はデフレ経済で供給過剰という状態でした。
そこでグローバリゼーション、自由貿易をしたのです。
これはある意味では日本の実情に合っていました。
国民の賃金、お給料は下がっていたので多くの人が「1円でも安い物を欲しがる」という”需要”があったのです。
そこで企業は、物を生産する場所を人件費の安い国に移します。
当時は主に中国でした。
中国人の安い人件費で生産された物が、逆輸入として日本に「安い価格」で入ってくるようになりました。
給料が下がった(所得が減った)日本国民は、こぞってその「安い価格」の中国製品を買い漁ります。
こうなると企業はどう考えるでしょうか?
「高い給料を払わなければいけない日本人を雇うより、人件費の安い国で生産し続けたほうが儲かる」
と、このように考えるようになります。
しかし、日本人がどれだけその「中国で生産された安い製品を日本で買っても」、日本人が払ったそのお金(日本円)は中国(元)に両替されて流れ出ていきます。
つまりその製品をいくら買っても「日本人の所得」にはならないのです。
もちろんその製品を売っている企業の社長が日本人は儲かりますが、全体として見れば、日本人の所得にはならないのです。
日本人の所得にならないということは、当然お給料も上がりません。
賃金は低いまま、ひたすら海外から逆輸入された安い製品を買い続けることになるのです。
こういった事実があったことでデフレが加速し、また固定されていったのです。
どこも雇ってくれない~失業率の上昇~
完全失業率グラフ
バブル崩壊した辺りの90年代初頭から失業率が上がっています。
一番高い時期で2002年の5.5%ぐらいでしょうか。
失業率が高いということは「働きたいのに働けない人が多い」ということです。
というのも失業率の計算は失業者の定義に当てはまっていないといけないからです。
先ほど説明した通り、企業は人件費削減の為に従業員を解雇、非正規にします。
そうなることで職を失う人が多くなります。
職を失う人が多くなれば、実業率は上がります。
失業者は消費を極度に抑えるので当然、買われる物は少なくなります。
生きていくための買物も、安いものに限られていきます。
何が入っているのかわからない、身体に良いものとは到底言えない物を買い、命を繋いでいくしかなくなるのです。
その為、企業の売上は更に減っていき、企業は更なる経費削減を強いられていきます。
失業者はできるだけ、前職に近い給与、待遇を求める為に再就職もしにくい環境となります。
グローバル化はここでもデフレ促進に寄与してしまいました。
外国人労働者が日本に流入したことで更に再就職できない仕事にありつけない、賃金が低い外国人労働者の賃金と同じ水準で働かなくては、仕事ができないという環境になってしまったのです。
格差〜なんであいつばっかり的〜
賃金の低下、失業率の上昇を説明しましたがこれらのことが起こると次は、
「格差」が生まれます。
格差というのは「ジニ係数」という指標で表せられます。
ジニ係数という指標は「1」に近づくほど格差が開いているという事になります。
バブル崩壊した90年台から徐々に上昇していることがわかり、96年あたりから急激に上昇しています。
これは橋本政権が行った金融ビッグバンと言い金融市場を外資へ解放した年です。
かつては一億総中流などと言われ、国民の所得がひし形、つまり中流が多く、下流と上流は少ない構造でしたが、中流の多くが、下流に落ちてしまいデフレとグローバル化の影響でピラミッド型になっていったと考えられます。
ジニ係数の推移を見れば想像に難しくないと思います。
グローバル化というのは個人はもちろん、企業も国家も必ず勝ち組と負け組に分かれてしまいます。
アメリカでも格差が問題となり貧困で苦しむ子供多くいます。
更に貧困は連鎖してしまうという問題もあるので早急な是正が必要ですが、全く期待できません。
治安の悪化
外国人の流入で犯罪も増えているのか、治安はどうなっているのかという点で、
以下のブログを参考にしてみてください。非常に詳しくわかりやすく書いてらっしゃいます。
http://blogs.yahoo.co.jp/success0965/11099599.html
警察発表の数字ですから一応の信憑性はあるかと思います。
元々、日本は朝鮮戦争の時に難民が日本を訪れています。
その時の政府の対応は、かつて統治していた過去もあった為に、追い返すことはせず、正式に受け入れることもしなかったようです。
参考までに平和条約国籍離脱者
治安は移民=悪くなるというイメージ先行の部分もありますが、事実である部分も少なくありません。
私自身は、外国人の友人は多いので、個人レベルでは全く気にしていません。
アメリカ人、イギリス人、フィリピン人、ロシア人、ナイジェリア人、バングラデシュ人、韓国人などよくよく考えてみたら結構います。
個人レベルで考えれば問題ないように感じますが、
全体を考える上で私達は”国”で判断するしかないのです。
企業の変貌
かつては終身雇用、年功序列というシステムがありましたが、グローバル化の影響で企業の体質がアメリカナイズされてしまいました。
株式市場などの金融市場がグローバル化によって株式市場における外国人投資家の取引は7割という状態になっています。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGD1308B_U4A610C1NN1000/
保有はそれほど多くありませんが、株主として経営者に影響力を発揮します。
その影響力のほとんどは「短期間で利益を出して配当を増やせ」という要求です。
企業は所有と経営の分離といい経営は経営のプロが行い、会社の持ち主は株主ということになっています。
資本主義ですから当然株主は自己の利益を最大化しようとします。
その結果、経営者は「短期利益至上主義」という経営スタンスとなり、コストカットを常に行い、人件費は極限まで抑え、時には不正という形で、利益を出すのです。
それが東芝の不正会計の実情だと私は判断しています。
こうなれば、企業は長期的な投資は出来ずまた、従業員の給料も上げられません。
このような金融市場のグローバル化によって、「株主資本主義」が横行し、
一般労働者としては不利益を被ることになってしまうのです。
英語教育がやたらと推進される
過去に以下の記事を書いていますので参考にしてみてください。
やたらと英語教育を強化するという政策が行われています。
政府は英語化を進める大学に多額の補助金を与える教育改革や、英語を公用語とする英語特区の創設などを行ってきています。
英語化推進派の目的は国際競争力の向上ということですが、日本語という母国語だけを話して生活できて一生を終えられる方が、私はそちらの方が良いと考えます。
英語を話せれば良いに越したことはないですが、母国語よりも英語を上位に位置づけるような政策は日本人の持っているポテンシャルを引き出せないのではないかと私は思うのです。
私はこれをグローバル化のデメリットと判断していますが、どうせなら日本語を世界に拡めようと考える方が積極的な姿勢でいたいですし、言語を奪われるということは、私にとってはほとんど”死”も同然なのです。
これは価値観でしょうが、母国語を大切に思って欲しいと私は切に願っているのです。
因みに、チベットでは、中国の弾圧により言語を奪われ、チベット仏教の僧侶が「焼身自殺」をして抗議をするという事件がありました。
非常にショッキングな映像ですので閲覧注意でお願いします。
まとめ
給料下がった、給料上がらない、ボーナスでない
どこも雇ってくれない~失業率の上昇~
格差
治安の悪化
企業の変貌
英語教育がやたらと推進される
となりますが、これが私の判断するグローバル化で日本人が困ったことです。
不利益になったことです。
もちろん私もグローバリズムを全否定しているわけではありません。
タイミングと程度で善か悪かは分かれるはずです。
例えば「鎖国か開国か」とTPPの時にメディアはこういった極論で表現しますが、そんな単純な話ではありません。
鎖国と開国の間のどこにポジショニングするかは各国の事情で変わるはずなのです。
この記事があなたの考えるヒントになれば幸いです。