グローバリズムと言えば自由貿易協定、我が国での最近且つ最大のイシューの自由貿易協定と言えば「TPP」です。
そしていよいよTPP関連法案が衆議院を通過しました。
元々TPPというものは、自由貿易の名の下に我が国のルールが、「国際基準」となることで、各24分野の項目の法律が改正され、更にそれはラチェット規定という条約で後から変更できず、日本国憲法よりも強力なルールで縛られることで、我が国日本が「実質的に消滅」するという危険性を孕んでいました。
最近では、それまでTPP参加に反対していた言論人がアメリカがTPPから抜けたのであればTPPに参加すべきだという言説も見られます。
ですが、私は全くそうは思いません。
なぜなら、我が国はデフレです。
更に、TPP参加国は安い労働力を輸出したいと予想できる国々ですから、国家戦略特区や入管法改正で移民推進を行っているのに更に移民が入ってきてしまっては、治安ももちろんですが日本国民の労働者の賃金が上がらず貧困問題、ブラック企業問題の解決にブレーキがかかる可能性があります。
「外国人は安い賃金でも文句も言わず働いてくれてありがたいな~日本人の労働者も見習え!」
といった主張がまかり通るということです。
そうなれば、そのうち外国人だって要求を始めるでしょうし、移民と日本国民の間で憎しみが生まれるであろうことは想像に難くありません。
うす甘いコスモポリタニズムや地球市民思想は現実にはまだ不可能なのです。
それは、ユーロ諸国の移民問題で答えは出ています。
ロンドンでは半数以上が外国人になっており、一部の外国人は「バッキンガム宮殿をモスクにしろ」と言っているようです。
我が国で例えれば差し詰め「皇居をカトリック教会にしろ」と言われているのと同じようなものです。
こんなことをいうムスリムは一部でしょうが、これは私の定義では「侵略」であると言えます。
安倍総理は移民政策には反対と言いながら、移民の定義を変え移民受け入れ大国日本を作り上げたところから察するにグローバリストであることは間違いないのでしょう。
安倍総理と統一教会、国際勝共連合の関係は有名になってきましたが、所詮はCIAエージェントを祖父や親戚に持つ立場なので、一般の日本国民にとってありがたいと思える政治はしてくれそうもありません。
国際勝共連合は「打倒!共産主義!」といった主張を行っていますが「打倒!共産主義!」=保守といった構図にミスリードしているような気がしますし、安倍総理が行う政策の行き着く先は共産主義社会とほぼ同じです。
なぜなら、安倍総理の新自由主義的なスタンスと共産主義の行き着く先は同じだからです。
新自由主義と共産主義の作り出す未来〜優生学は現代に存在する〜
この記事ではTPPについてのおさらいとTPP11ならどう考えるべきなのかという視点から考えてみたいと思います。
グローバリズムはヒト・モノ・カネの自由な移動
目次
グローバリズムとは
「ヒト・モノ・カネの自由な移動をできるだけする」
という考え方です。
これは過去にも記事を書いていますので参考にしてください。
更に身近な表現をすれば「日本国において外国人も日本人も同じ立場にする」とも言えます。
外国人も日本人も同じ立場であるということはどういうことかと言えば、
「国民という概念が無くなる」「国が無くなる」「国の主権が”誰かに”移される(移譲)」
ということを意味します。
つまり、日本という国に、日本人として生きていても、日本人としてのメリットを受けられなくなるということになります。
何しろ、グローバリズムにおいては国民と外国人を区別しません。
いるのは、新古典派経済学的な「経済人」「個人」のみです。
次に企業の視点から観るグローバリズムというものは、「市場」を国内に限定する必要がなく、更に生産拠点を人件費の安い国に移すことができ、投資も国内に限定されませんので、利益を生み出しやすいと言えます。
グローバリズムにおいては「企業が国を選ぶ」という状況になりますので、安い人件費を確保する競争、いわゆる「底辺への競争」やパナマ文書問題などの「”脱税”問題」も当然の帰結と言えます。
経営コンサルタントがほぼ全員グローバリストなのは、グローバリズムが善であると経済学や企業経営理論などの教義を受け、その方が企業活動にとってメリットがあると知っているからです。
もちろん経営コンサルタントに「安全保障」の概念などは存在しません。
経営コンサルタントの仕事は「クライアントの利益の最大化」であるので、いくら国民経済を破壊しようが国民が貧困化しようが、自殺者が年間15万人いようが、そんなことは関係ありません。
働き方改革も、水道民営化も種子法廃止もTPPも経営コンサルタントなどのグローバリストからしてみれば、「何がいけないの?」としか思わないのです。
こういった考え方を持つ企業に投資する銀行や投資家からしてみてもグローバリズムはメリットがあります。
「所有と経営の分離」の概念と「資本移動の自由」が確保されれば、資本家は国を選ばずに投資することができるということになります。
こうなることで、投資家は自己の利益を最大化つまり「配当の最大化」を経営陣に求めます。
上場企業は四半期決算ですので、3ヶ月で利益を出せと要請されることになります。
となれば、手っ取り早く利益確保できるのはあらゆるコストカット、人件費の削減に重点が置かれることになるのです。
企業としては「所有と経営の分離」によって投資家の要請に従わざるを得ません。
所有権というのは支配権のことです。
というわけで、企業の視点からグローバリズムで説明したことが、帰結として発生するのです。
企業経営人は自身の任期までなんとかどんな手段でも利益を確保できれば良いと考え、投資家は企業の体力を絞れるだけ絞り切ることで利益の最大化を図ります。
絞れきれなくなった頃に、投資家は出資を引き上げ、経営陣は交代し、不正が発覚して、第三者委員会が発足され、他の企業が買収するといった流れになるのです。
この繰り返しで企業は衰退していきます。
投資家は別の企業に投資し、役員等も別の企業の経営陣にとして就任して、同じことをします。
日本の労働者にとってのメリットは基本的にはありません。
日本人の労働者は、「国際競争力」という言葉や「経営者目線」という言葉に騙されています。
労働者の立場であるにもかかわらず、ビジネスを語る時に、何やら経営者側に立った意見を言いたがる傾向にあります。
当の経営者からは「労働者目線」などという言葉は聞いたことがありません。
強い者が弱い者から搾取する。
単なる弱肉強食の世界、これがグローバリズムです。
TPP参加国が輸出したいものは低賃金労働
当然ですが、TPP参加国のオーストラリア,ブルネイ,カナダ,チリ,日本,マレーシア,メキシコ,ニュージーランド,ペルー,シンガポール、ベトナムの11ヶ国でのGDPのシェアは圧倒的に我が国です。
さらに、農産品や一次産品、低賃金労働を輸出したいであろう国は一目瞭然です。
我が国にどっと外国人労働者が流れ込んでくることは明白です。
元々、当初のTPPは実質日米FTAでしたが、アメリカが抜けたもんだから「日本主導のTPP」ということで、TPPとは別に日米FTAを結ぶということになれば、米韓FTAの二の舞になった上で、国際的に「日本地域」というような位置づけになり実質的に我が国は消滅します。
米韓FTAとその後・・・国民なき「国益」に怨嗟の声 大企業優先・農業・中小企業は犠牲
私はこの可能性が極めて高いと考えています。
現実には日本国民よりも中国人の方が結束してくると思いますし、「真剣に」生きている彼らを見ていると、北京オリンピック長野聖火リレーの中国人の暴動が日本各地で発生することは必然と考えられます。
こういった最悪の想定をしなくとも、低賃金労働を受け入れる外国人労働者が我が国に、国家戦略特区を介して入ってきても、研修制度を介して入ってきても、密入国であろうとも、「日本国民」にとって不利益を避けることはできないのです。
グローバリズムを実現しても日本国民にとってはなんのメリットもない
前項で観たように、グローバリズムを実現したところで、一般の日本国民の生活は困窮していくだけです。
日本国民の本音は、
「安全で豊かに、未来に希望を持てる国や社会」
であることは一般論としても間違いありません。
しかし、グローバリズムが進行すればするほど、
「危険で、貧しく、未来に絶望するしかない国や社会」
になることは明白ですし、日本国民の大多数は気付いているはずです。
でもそういった声が聞こえてこないのは、「言いづらい(排外主義者だと思われるとか)」か「時代の流れと思って諦めている」のだと感じます。
あるいは、「無関心」でしょうか…
仮に今回TPP11で私の危惧していることが起こらなかったとしても、日米FTAは残っていますから、当然その条約には「ISD条項」が組み込まれます。
そうなれば、日本人が大好きな「保険制度」が瓦解していくことになるでしょう。
私は「国民健康保険」は確実に縮小していくと考えています。
なぜなら、国民健康保険制度は民間の保険会社、特に外資系の保険会社からしてみれば鬱陶しい存在です。
恐らく、以下のような論理が使われるはずです。
「国民健康保険制度は市場原理に反している」
「国民健康保険は既得権益である」
「社会保障制度として国民健康保険は維持できない」
とこのような論理で農協改革も行なわれましたし、郵政改革も行なわれましたので、バカのひとつ覚えよろしく同じような壊され方になるのしょう。
因みに、国民健康保険制度の現状はこのようになっています。
日本人自身に、また、公務員自体に国民健康保険制度を守る意識など露ほども持っていないことは明らかです。
個人的には、病院など救急や交通事故以外ではまず行きませんし薬も飲みませんので実費でも良いくらいですが社会全体ともなるとそうはいかないでしょう。
もちろん、農協改革や水道民営化、種子法廃止、発送電分離などもはTPPで「固定化」されることになります。
TPPもFTAもラチェット規定ですからこれから日本国民は益々貧しくなっていくことになります。
TPPで喜ぶのは大企業のみ
先ほども説明しましたが、企業にとってグローバリズムという考え方には大きなメリットがあります。
安く生産できて、利益も多く獲得できてということであればそれに反対する企業はないでしょう。
もちろんグローバリズムの恩恵を受けない産業もありますが。
一般庶民は企業の奴隷になっていきます。
そのための「働き方改革」であり「高度プロフェッショナル労働制」なのです。
高度プロフェッショナル労働制というのは、企業がこれまでも、またこれからも雇用を縮小した際に、「その制度でしか働けない人間を安くこき使うことできる」という結果が生まれる可能性があります。
要はこういうことです。
高度プロフェッショナル労働制で残業代の支払いや残業時間などの上限がなくなるのであれば、それだけでも企業にとってメリットですし、「従業員が同意するしかない空気」というものがその企業に醸成されるはずです。
解雇等の不当な扱いは受けないという規制がありますが、こんなもの何の意味もありません。
仮に、同意する従業員が全くいないという場合には、その高度な業務は「外注」されることになりますので、そういった技能を持つ人間がいる会社が(派遣会社や専門会社)行うことになりますが、その時に「”現場で”その業務を行う人間は」果たしてどのような待遇でその業務を行うことになるのでしょうか?
間違いなく、「非正規」と言える待遇で行われることになるでしょう。
派遣会社ということであれば当然、「非正規雇用」ですし、専門会社であれば、そちらでも「高度な技能を持つ人」ということになるので、どっちにしても労働者を安く使えるような二段構えになっています。
何より、企業が労働者を安く使いたいと思っているのですから当然です。
個人事業主という現代の奴隷制度と呼ばれる日も近いです。
一部の産業では完全な奴隷制度となっています。
これらもTPPやFTAと絡めて考えれば、外国人労働者と日本国民は「同じ立場」と言える環境になります。
暴動が起きることは必至
いずれ我が国でも暴動が起きるでしょう。
しかし、それは日本国民が起こすのではなく日本国民ではない人達が起こすのです。
帰化要件が緩和されたり永住権取得の要件が緩和されているので恐らく、我が国日本は「かつて日本と呼ばれていた国」という認識が海外に広まるのではないでしょうか。
戦後日本人ほどヘタレな民族はどこを探してもいないというのが私の認識です。
国民が自国を守ろうとしない、それも保守派と自称する人達が国を売ろうと懸命になるという奇特な状況です。
余談ですがよく保守派を自称する人が「我が国はまず教育を変えなくてはいけない」ということを言ったりします。
確かにその通りではあり”ました”。
私が言いたいのは「遅すぎる」ということです。
GHQ撤退と同時にとか、高度成長期や、せめて冷戦時代に言えという話です。
そういった保守派を自称する人は左翼勢力を平和ボケと揶揄しますが、現状をまっすぐ観ることができないという点では保守派も平和ボケしているのです。
今からやっても無理だということ認識すらないのです。
やってる間に侵略されて終了です。
こういうことを言う保守を自称する人達というのは自覚がないぶん恐ろしいのです。
無意識に我が国の不利益な選択を取ってしまうのですから。
まとめ
TPP関連法案が衆議院通過しているのにもかかわらず、相も変わらず我が国はスピン報道に徹している非常にイカれた状態です。
これから全国民の暮らしが根本的に変わるかもしれない条約が締結されるというのに我が国は大学のアメフト問題をいつまでも取り上げてます。
他にネタはなかったのかというくらいのスピン報道です。
アメフトが好きな人には申し訳ないですが、日本でアメフトの話題が報道されることってそんなに多かったっけ?といった印象ですし、第一、大学スポーツと国民全体の暮らしのあり方とどちらが重要なのでしょうか。
日本国民に3S政策は実に効果的だと感じざるを得ません。