入管法改正や水道事業改正、種子法を廃止、妊婦加算税そしてTPP。
改正水道法が成立!“命の水”水道民営化でどうなる?安全性は?値上げは?
連続して強行的に採決していますが、最早国民に対する配慮も世論も無視した状況になっています。
政権はなにか相当に焦っているようにも観えます。
水道民営化にしても、入管法改悪にしても種子法廃止にしても、「企業のための規制緩和」です。
国民のためではありません。
先日、以下の記事でも書きましたが、財界が政治をコントロールしていることが火を見るより明らかといった証明を現状が示してくれています。
またTPPにおけるISD条項について、企業側はISD条項を盛込むことを是としています。
TPP11 で議論された ISDS 条項 -海外投資に伴うポリティカル・リスクのマネジメント- 服部 和哉(AIG 総合研究所主任研究員)
財界の投資リスクを軽減させたいインセンティブを考えれば当然のことでですが、上記のレポートのように露骨に財界が政治に口を挟み、ロビイングをしているのです。
水道民営化にしても、水メジャーのヴェオリア・ウォーターと関係している人物が内閣府PPP、民間資金等活用事業推進室に在籍していることが明らかになりました。
何で報じないの?()#水道民営化
ロスチャイルド・パリ家傘下
仏ヴェオリア・エンバイロメント社営業本部PPP推進部
内閣府PPP・PFI推進室政策委員()
伊藤万葉氏
パリ家デホングループ フレデリック・デホン氏の妻 麻生太郎の娘 麻生彩子デホン氏
傘下ラファージュ社資本提携 麻生セメント#kokkai pic.twitter.com/bl0rBH6BS8— 日銀筆頭株主ロスチャイルド (@RothschildBoJ) 2018年11月30日
内閣府は利害関係者には当たらないとしているようです。
これらの法改正は全て、「規制緩和」です。
以前、規制緩和についての記事はいくらか書きましたので参考にしていただればと思いますが、今回の記事では過去の記事では言及していないところについて書いてみたいと思います。
規制によって守られる労働者
ビジネスにおける規制とは、企業活動に対する「制限」のことです。
言うまでもなく企業は利益を追求する目的を持った経済主体です。
存在意義が利益の創出ということになる企業は、極端な言い方をすれば利益のためなら「なんでもする」存在であるということです。
この企業が利益のために「なんでもする」ということがわかっているから設けられたものが「規制」というものなのです。
例えば、雇用されている者の労働時間というものは労働基準法という法律で定められています。
労働基準法という法律がなければ、企業は労働者をいくらでも働かせることができるということになります。
企業としては、できるだけ長く低賃金で労働者に働いてもらいたいというインセンティブがありますし、また、企業は労働者よりも強い立場にあります。
使用者と被用者の互いの立場は元々、対立構造になっており、取引、契約であるということです。
他には今回、水道事業の民営化が可決されましたが、これも「規制緩和」です。
高度プロフェッショナル労働制も規制緩和です。
「規制」という言葉のイメージには、「不自由」、「やりづらさ」、「非効率」などのネガティブな意味合いを包含されていますが、それは財界にコントロールされたマスメディアが作り上げたイメージです。
マスメディアは様々なプロパガンダ技術を用いて、規制緩和を推し進めたのです。
規制が邪魔な企業
規制緩和を常に求める企業はなぜ規制緩和をそれほどまでに求めるのでしょうか?
理由は以下のものです。
「株主の要請」
これが一番大きいでしょう。
株主は会社の持ち主ですから、持ち物を支配する権利があるということになっています。
それが所有と経営の分離と言われるものですが、その企業の所有者として株主は、自己の利益の最大化を求め、株主総会で経営陣に圧力を掛けます。
他には以下の理由もあります。
「役員の保身」
「短期利益至上主義」
なぜこうなるのかといった原因のひとつに「グローバリゼーション」がありますが、それらのことは、以下の記事に書いたので参照していただきたいと思います。
企業としては儲かれば良いということなので、ロビー活動や懐柔で政治家を手懐け、子飼いにしていきます。
竹中平蔵氏が取締役会長を務めるパソナでは、迎賓館ということで、一等地に仁風林というサロンで国会議員を接待しているという話はあまりにも有名です。
規制緩和は、基本的に企業にとってメリットになる政策です。企業にとってメリットになるということは、全てとは言いませんが、労働者にとってデメリットとなります。
それを「構造改革」、「抜本的改革」、「改革を止めるな!」「維新!」と言って大多数の国民である労働者の利益を奪い、財界の利益が図られて来たのです。
参考:構造改革という名の民営化
規制緩和が労働者にとって利益になるかと言えば、利益と呼べるかどうか怪しいところではあるものの、こういったこういったメリットがあります。
例えば、中間管理職の労働者が規制緩和が行われたことによって、それまで部下に対して気にしなければいけなかったことがなくなったという場合があるかもしれません。
他には部下やバイト、パートの労働時間や残業時間、経理担当の計算、営業担当の売り込み表現や広告表現の緩和などが考えられます。
この程度です。
不動産で言えば、「周知の埋蔵文化財包蔵地」などがあるでしょう。
文化財保護法第93条
1.周知の埋蔵文化財包蔵地を土木工事等の目的(埋蔵文化財の調査の目的を除く)で発掘しようとする者は、発掘に着手する日の60日前までに文化庁長官に届出をしなければならない(同法第93条第1項で準用する第92条第1項)
2.届出をした発掘に対し、埋蔵文化財の保護上、特に必要があるときには、文化庁長官は発掘前に、記録の作成のための発掘調査など必要な事項を指示することができる(同法第93条第2項)
例えばこの文化財保護法第93条を「廃止」という形で規制緩和をした場合、埋蔵文化財包蔵地だったことがわかっても、知ったことかとマンションを建てたりテーマパークを作ったりできるのです。
これは不動産業者やデベロッパー、建設会社などとしては良いかもしれませんが、その土地の重要な文化的発見をみすみす手放すことになります。
しかし、経済的利益さえ生めれば何でも良いということであればそういった歴史の真実などはその時だけの経済的利益を理由に永遠に失われることになるのです。
企業と労働者の対立構造
上記の記事にも書きましたが、最早かつてのような従業員は家族であるといった見方はされていません。
従業員は単なる「コスト」としてしか見られていません。
しかし、これがグローバルスタンダードと言えばその通りで、欧米では企業と従業員ははっきりと対立構造になっています。
最近、燃料税の増税に反発して見事増税見送りを勝ち取ったとされるフランスのパリなんかでは、ストやデモはしょっちょう行われています。
因みにパリの暴動、デモは燃料税が主たる理由ではなく「グローバリズム」に対するフランス国民の我慢の限界で、発生しているものです。
フランス国民のデモ、ストのやり方は、要は「給料上げてくれなきゃ仕事しないよ?」とその企業が一番忙しい時期に、また客のことなんか知ったことかと言わんばかりに抗議に出るのです。
相手に迷惑をかけなければ、相手は追い込まれないということをよく知っているのです。
日本に場合は、暴力的な抗議は常に批判されますし、関係ない人に迷惑を掛けてはいけないという考え方が根付いています。
我が国の政治問題がデモや抗議で変わらないのはこのためです。
デモをする側の行儀が良すぎることや、国会議員や財界に対して「迷惑を」かけないから、何も変わらないとも言えます。
私としても暴力的な抗議は反対ですが、抗議するなら効果的にしないと意味がありません。
ブラック企業問題が主に日本のみで問題になっていると言われていることの所以は日本人の「大人しさ」、悪く言えば「奴隷根性」にあります。
一方、アメリカの労働に関する問題は日本とは様相が違っています。
例えば、日本では労働時間や残業時間などについて議論されることが多いようですが、アメリカの場合残業すらさせてくれないといったことも多いようです。
オフィスの電気代はコスト増だから家に持ち帰って残業しろといったところです。
ですが「契約」にそれが盛り込まれていたらそうせざるを得ません。
日本のブラック企業問題というのは、訴えれば勝てるのに従業員が奴隷の如く何も訴えず主張しないことが問題なのです。
そんなことをしては「和をもって尊しとなす」の精神に反するといった感覚もあるのかもしれませんが、限度を超えてまでその精神を全うすることはないはずです。
「和をもって尊しとなす」という考え方は、「単に流されること」と紙一重です。
企業と従業員の対立構造は、
「グローバリゼーションによって企業が”国を選べる”状況から、企業の利益と従業員の利益が一致しなくなったこと」
に端を発しています。
企業が国内にしか留まることしかできないのであれば、国内で成長するしかありません。
国内の物価水準も途上国と先進国のような差があるわけではないので、企業としては低賃金競争に巻き込まれる必要はなくなるのです。
また、その状況では、企業は自社の従業員の待遇を良くすること、賃金水準を上昇させていくことが、企業の利益になるのです。
このように我が国は戦後、経済成長したのです。
もちろん、GATTの交渉や為替政策でアメリカが日本に有利な条件にしたことも大きな要因です。
アメリカとしても日本を貧しいままにしておくと共産革命が起きる恐れがあった為です。
それに関連して全学連やブントなどの組織には、CIAのエージェントが潜り込んでいました。
共産革命に対するアメリカの警戒は大きかったのです。
60年安保 共産主義者同盟(ブント)学生と財界 CIAの暗躍
まとめ
コンセッション方式の問題は今更言うべきことでもないかもしれませんが、以下の資料は如何にコンセッション方式が欺瞞に満ちた方式であるかを如実に表わしてくれています。
コンセッション方式について、一応説明しますが、コンセッション方式とは、「公設民営型」と言われる所有権を公的機関に残したまま、運営は民間が行うといったものです。
コンセッション方式では民間には設備に対する責任がないことが問題なのです。
テンプレ過ぎて見ているこっちが恥ずかしくなる。 pic.twitter.com/4bPJkQ5XBB
— エンリコ (@FatherPucchi) 2018年12月7日
コンセッション方式に対する批判にこういった反論がありますが、本当に悪質だと感じます。
いずれにせよ、財界も政界も結託しておりますから、規制緩和という言葉の「イメージ」には惑わされないようにしたいところです。