電子マネーなど「支払い円滑化」はタルムード由来

電子マネーなど「支払い円滑化」はタルムード由来

最近はビジネスの記事はとんとご無沙汰でしたが、久しぶりに書いてみたいと思います。

電子マネーが流行りだして久しいですが、この電子マネーをビジネスの観点から観ると非常に興味深いことがわかります。

電子マネーに限らず、支払いの決済手段として認知されている方法として、クレジットカード決済、現金支払い、銀行振込、手形決済、小切手決済、自動引き落としなどがメジャーになっているかと思いますが、これは何も「消費者の利便性を考えた方式ではない」ということです。

通販の小規模ビジネスで、決済手段を多様化させることで消費者の利便性を図るというのは表面上ではその通りですが、真意としては「消費者が購入を決断しやすい」からこそ導入されるものです。

ご存知のユダヤ教には以下の言葉があります。

「人は、小作人に種子用の小麦を同量返却の条件で貸し付けていよい。だが、食用には貸し付けてはならない。(ミシュナ「ババ・メツィア篇」五・ハ)」

ここでいう貧乏人とは「欲しい物を持っていない人」という意味です。

貨幣経済の世界では、「金持ち」という価値観は、貧乏人がいる前提があるからこそ、金持ちになりたいという願望が成立します。

全員が金持ちであれば、金持ちに価値はありません。

イスラエルには「キブツ」という実験社会がありますが、それでも誰かが褒められたり、贈与などを受ければ周囲はそれに嫉妬なり羨望なりといった感情を向けます。

つまり、人間とは他人とのネガティブな差は許せないが、自分が豊かになり周囲と差をつけることは構わないといった性を持っているのです。

このことからビジネスを考えるといつの世も少数の金持ちと多少の差こそあれ大多数の貧乏人が存在し、金持ちは貧乏人から吸い上げ、それを富の源泉としているということがわかります。

しかし、貧乏人から多く富を吸い上げ過ぎれば、富の源泉は消滅してしまうことになるので、取り過ぎてたら、貧乏人の所有は底をつき、本末転倒となります。

多くの貧乏人から少しづつ吸い上げることで、富を築く必要があるのです。

そこで必要なことが、「支払いの循環」です。

小さい金額の支払いを循環させながら、数パーセントを利潤として蓄積させていくことで、後に大きなビジネスに発展していくのです。

そのために必要なことが、「支払手段の円滑化、多様化」になります。

高所得者層を対象にしたビジネスでも、低所得者層を対象にしたビジネスでも、高品質なものを選ぶ前者と安くてそこそこなものを選ぶ後者で差はありますが、代金を容易に支払えることを望む点では共通しています。

よく、クレジットカード決済決済の請求でコンビニ払いをしている人は大抵「自動引き落とし」を勧める書面が同封されています。

その書面には必ずと言っていいほど「便利」という言葉が使われていますが、便利なのは債権者側なのです。

債権者としては、特に金融業としては債権を如何に効率的に、安全に回収するかは永遠のテーマです。

債務者にわざわざコンビニで支払わなくても、銀行預金から自動で引き落としたほうが便利ですよと言いながら、自らの安全を図っているということです。

これは何も債権者を非難しているわけではありません。

私自身、債権者を地獄に落とそうとする債務者は多く見ています。

債権者が債務者に対して警戒するのは当然のことであり、また自らの安全を図ることはビジネスとして義務でもあります。

ここで、先ほど紹介したユダヤの言葉が生きてきます。

「人は、小作人に種子用の小麦を同量返却の条件で貸し付けていよい。だが、食用には貸し付けてはならない。(ミシュナ「ババ・メツィア篇」五・ハ)」

種子の貸付であれば、元本返却を期待できますが、食用であれば、食べてしまえば(消費)それで終わりなので貸し倒れになる可能性があります。

貸し倒れになれば、債務者はさらに困窮してしまう場合になることが少なくありません。

すると、債権者も債務者も行き詰まってしまうのです。

だからこそ、ユダヤでは「消費貸借」を戒めているのだと思われます。

このことを社会全体で考えれば、支払いが円滑化されていないことそれ自体が、経済環境に大きな打撃を加えてしまうということにもなりますし、逆に支払いが円滑化されていることで被害を最小限に抑えることができるということになります。

個人レベルで考えれば、支払いが円滑化は便利とか早いとかそういった意識でしか考えることはないですが、為政者の立場で全体を考えると支払いが円滑化は「統治の一環」と言えなくもないのです。

円滑に支払ってもらえる環境整備や価格設定、スムーズな購買を促す工夫をしてサービスの提供をすることで、ビジネスも大きくなり、経済も拡大していくのです。

電子マネーも言わば、支払いが円滑化の最終的な手段となりえるでしょう。

仮に、体内インプラントするマイクロチップを人体に埋め込まれ、それに銀行預金等のデータ、税務情報などを一括化すれば、働いて報酬を得るときには、「保険や年金」、「税金」などが差し引かれた金額がデータとしてそのマイクロチップに記録されるということになります。

税務署が各個人のあらゆる所得ラインを把握し、その所得からテクノロジーによって自動的に且つ円滑に税金を徴収することができれば、国からしてみれば願ったり叶ったりということになります。

タルムードでは一応弱者救済の規定もあったりします。

利息禁止の規定です。

あなたが、共におるわたしの民の貧しい者に金を貸す時は、これに対して金貸しのようになってはならない。これから利子を取ってはならない出エジプト記22章25節」

出エジプト記口語訳

基本的には弱者救済の思想から規定されているのでしょうし、それ自体が営利活動の否定を指しているのではないでしょう。

貸し付けるにからには、元本や一定の利息を付けないと貸す側も困るため借り主が滞りなく返済できる環境を整備することは貸主のリスクを低減させる努力であると同時に借り主に対する義務でもあるということなのです。

また、借り主の最後の経済手段までも奪ってはならないということも規定されています。

「もし隣人の上着を質に取るならば、日の入るまでにそれを返さなければならない。(出エジプト記22章26節)」


さすがに金融で世界を席巻しているだけのことはあると思いますが、これは悪言い方をすれば、

「債務者は生かさず殺さず」が重要であるということです。

支払いの円滑化を図り、且つ支払い方法の選択自由を与え、債務者は気持ちよく債権者に支払う結果になるということでは実に聡明な考えと言えるでしょう。

さらに債務者は債権者側の意図にも気付かないということなら願ったり叶ったりです。

当ブログの読者の方々は、電子マネーがどのような意図で拡められているかはご存知でしょうが、ビジネスの観点で観てみるとまた違った観え方になるので、時々、「視点を変える」ことを実践してみてください。

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