大手の下請いじめはいつまで続くのか?

最近下請いじめに関する報道が多くなってきたように感じます。

こちら1月7日の記事ですが下請けGメンなるものが発足されるようです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170107/k10010831741000.html

追記、上のリンクは記事が取り消されました。

下請けいじめが行われる背景、原因、解決策とは一体何なのでしょうか?

恐らくこの下請Gメンが活躍することは期待できそうもありません。

単純に、役人の退職後の受け皿になるだけだと考えられますし、ト◯タ自動車や日本◯便を監査することがなければ茶番だとも言えます。

期待するだけ無駄という前提で考えておけば、今後の対策や傾向、原因に対しての理解を助けることになりますし、また逆に前提が崩れればそれはそれでありがたいのでここでは、下請けイジメの原因や具体例、解決策について記事にしたいと思います。

下請けイジメとはなにか?

下請けイジメとは、主に請負契約において、発注側が受注側に対し、立場を利用した理不尽な要求または役務の提供などを実質的に強要する行為です。

以下Wikipediaの説明。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E8%AB%8B%E3%81%84%E3%81%98%E3%82%81

具体的には以下のような行為です。

1 買いたたきの禁止(第4条第1項第5号)

 親事業者が発注に際して下請代金の額を決定するときに、発注した内容と同種又は類似の給付の内容(又は役務の提供)に対して通常支払われる対価に比べて著しく低い額を不当に定めることは「買いたたき」として下請法違反になります。

2 受領拒否の禁止(第4条第1項第1号)

 親事業者が下請事業者に対して委託した給付の目的物について、下請事業者が納入してきた場合、親事業者は下請事業者に責任がないのに受領を拒むと下請法違反となります。

3 返品の禁止(第4条第1項第4号)

 親事業者は下請事業者から納入された物品等を受領した後に、その物品等に瑕疵があるなど明らかに下請事業者に責任がある場合において、受領後速やかに不良品を返品するのは問題ありませんが、それ以外の場合に受領後に返品すると下請法違反となります。

4 下請代金の減額(第4条第1項第3号)

 親事業者は発注時に決定した下請代金を「下請事業者の責に帰すべき理由」がないにもかかわらず発注後に減額すると下請法違反となります。

5 下請代金の支払遅延の禁止(第4条第1項第2号)

 親事業者は物品等を受領した日(役務提供委託の場合は役務が提供された日)から起算して60日以内に定めた支払期日までに下請代金を全額支払わないと下請法違反となります。

6 割引困難な手形の交付の禁止(第4条第2項第2号)

 親事業者は下請事業者に対し下請代金を手形で支払う場合、支払期日までに一般の金融機関で割り引くことが困難な手形を交付すると下請法違反となります。

7 購入・利用強制の禁止(第4条第1項第6号)

 親事業者が、下請事業者に注文した給付の内容を維持するためなどの正当な理由がないのに、親事業者の指定する製品(自社製品を含む)・原材料等を強制的に下請事業者に購入させたり、サービス等を強制的に下請事業者に利用させて対価を支払わせたりすると購入・利用強制となり、下請法違反となります。

8 不当な経済上の利益の提供要請の禁止(第4条第2項第3号)

 親事業者が、下請事業者に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させることにより、下請事業者の利益を不当に害すると下請法違反となります。

9 不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止(第4条第2項第4号)

 親事業者が下請事業者に責任がないのに、発注の取消若しくは発注内容の変更を行い、又は受領後にやり直しをさせることにより、下請事業者の利益を不当に害すると下請法違反となります。

10 報復措置の禁止(第4条第1項第7号)

 親事業者が、下請事業者が親事業者の下請法違反行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由として、その下請事業者に対して取引数量を減じたり、取引を停止したり、その他不利益な取扱いをすると下請法違反となります。

11 有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止(第4条第2項第1号)

 親事業者が下請事業者の給付に必要な半製品、部品、付属品又は原材料を有償で支給している場合に、下請事業者の責任に帰すべき理由がないのにこの有償支給原材料等を用いて製造又は修理した物品の下請代金の支払期日より早い時期に当該原材料等の対価を下請事業者に支払わせたり下請代金から控除(相殺)したりすると下請法違反となります。

とまあツラツラ定められていますが、よくあるパターンは以下のような行為です。

当初、見積りした金額で合意したのにも関わらず役務完了後、請求の段階において、

値引き強要することなど。

初回はしないが、次回に大量発注することを条件に見積金額を出させておいて、実際にはせずに、初回の発注金額を下げようとする行為。

発注側の担当者が、受注側に本来の金額よりも多めの請求金額を提示させて、実際に請求して、受注側が振込、その本来の金額との差額分は受注側から発注側の担当者に現金で渡して、着服するといったような「水増し請求」なども横行しています。

因みに受注側の名目は、使途不明金、損金扱いとなります。

発注側の強い立場を利用して、こういったことがまかり通るのです。

なぜ下請けイジメが起こるのか?

デフレ経済

これらの原因の根本にあることは「デフレであること」です。

デフレの影響によって買い手市場になることが挙げられます。

我が国は20年デフレを放置した特異な国です。

更に、それに拍車をかけるように規制緩和、自由化などの構造改革が進められたために、競争が激化しました。

競争が激化すれば、顧客の奪い合いが当然に行われるようになります。

デフレ経済によって需要が増えていない為に、全体のパイはそのままなので、この状況で生き残るためには、他社の顧客を奪う以外に方法は基本的にありません。

需要とは名目GDPです。全体のパイがそのままとは名目GDPが増えていない、つまり経済成長していないということとも同義です。

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故にこのような状況では買い手市場となり、買う側の交渉力が上がります。

デフレとは通貨価値の相対的な上昇という側面がありますので、デフレの時にお金を持っていることは非常に有利なのです。

買う側の交渉力が上がるということは売る側の交渉力が低いということですので、売る側としては出来る限り買う側の希望を受けようと必死になります。

取引中止となっては、経営にダメージを受けます。新規に顧客を開拓する時間や費用、労力を考えたら、買う側が多少無茶な要求をしてきても飲まざるを得ないという発想になってもおかしくありません。

買い手側に倫理を求めても取引が終了するだけです。

したがって、買い手市場という情勢のために、買い手の極端な交渉力の向上と売り手の交渉力の低下が下請けイジメの原因のひとつと考えられます。

グローバリズム

次にグローバル化がデフレを促進させるという影響が挙げられます。

90年代から進められてきたグローバリズムによって低賃金労働を求めた企業の海外移転、低い賃金で作られた安い製品が日本へ押し寄せ、バブル崩壊後、緊縮財政と規制緩和で可処分所得が減少した日本国民は当然に「安い製品」を買うようになりました。

こうなれば国内企業も価格を下げて海外製品に対抗するという策を講じるようになります。

そして日本人の賃金も上がらないという結果になれば消費も冷え込み、企業は設備投資など到底できず、逆に倒産する会社も増えていくと、よくよく考えてみれば当たり前なんですがこのようなことが我が国で起きているのです。

グローバリズムがデフレを促進するというのはこういう意味です。

またグローバリズムは国も企業も個人も必ず二分化つまり、勝ち組と負け組に分離します。

以前書いたこちらの記事に詳しく書いてあります。

他にあげられるとすれば個人の倫理感や、それを育む教育などが不十分であるのだろうとも思いますが、普通は衣食足りて礼節を知るという場合が多いのでそれも限度はあるかと思います。

したがって大元の原因はデフレだということです。

どうすれば下請けイジメは無くなるのか?

まずひとつは大きな視点から言えばデフレを解消することです。

日銀が懸命に量的緩和をしてもインフレターゲットは達成することができませんでした。

つまり量的緩和だけでは不十分であることを再認識し、建設国債発行による財政出動が必要です。

被災地復興、全国のインフラ整備や新設、耐震化、自動問題、地方の人手不足や過疎化、東京一極集中などやるべきことはごまんとあります。

量的緩和だけではデフレ脱却には不十分であると浜田宏一内閣官房参与が宗旨変えをしたことは記憶に新しいかと思います。

デフレは貨幣現象ではなく需要の不足であることを再認識しなくてはいつまでもデフレ脱却はあできません。

またこのデフレ脱却を妨害するための仕掛けが施されていることに気付くべきです。

その仕掛けの多くはメディアや知識人が行う「プロパガンダ」手法です。

プロパガンダについて詳しく知りたい方は以下の記事をお読みください。

メディアの情報操作手法を公開します

国民一人一人が自分の頭で考えることが一番重要です。

先ほど書いた通り、現在は買い手市場です。

この買い手市場であるバランスを売り手市場側に傾けさせるにはデフレ脱却が不可欠です。

極端に売り手市場になってしまえばそれは過剰なインフレと言えるバブル経済になりつつある状態の

可能性もあることから、それはしっかりインフレ率とにらめっこして対策すれば良いのです。

緊縮財政をするなり規制緩和をするなり方法はいくらでもあるはずです。

現状は金融緩和や主に人口構造上の理由で人手不足は大手も含め顕著になっています。

地方の失業率は、非常に低い水準になっています。福井県の完全失業率は1.9%と完全雇用と言える状態です。

全体の完全失業率も2016年11月時点で3.1%と低い水準です。(総務省統計局)

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この現状から考えられることは、運送業、建設業、介護、医療などの業種は仕事はあるけど、人がいなくて受けられないというインフレ状態になっている可能性があるということです。

医療や介護は法律上の規制や介護報酬や診療報酬に関する部分や何より人の命を預かるという点で他の2業種と同列には語れませんが、運送、建設は恐ろしいほどの人手不足です。

特に運送は佐川急便の事件から過酷な労働環境が明らかとなったことから、運賃の是正が行われていく可能性もあるでしょう。

次に小さな視点から言えば、売り手の企業は自社の売上シェアを細かくチェックし大手に依存しないようにすることや、一社についての売上シェアの上限を定めておき、できるだけ売上シェアを分散させ新規開拓によって、大口のシェアを相対的に低下させることが重要と言えます。

そうすることで交渉力が上がりますので発注側の無茶な要望を聴く必要も無くなります。

更に細かいことを言えば商品差別化やUSPなどを考える必要もあるかもしれませんが、マーケティングや商品については個別に見てみない限りはっきりしたことは言えません。

このように対策はあります。

デフレ脱却をすることで全体のパイが増え、奪い合う必要もなくなるのです。

下請けGメンが活躍することを祈っていますが、あまり過度な期待はせずに自分の頭で考えて行動するしかありません。

誰も守ってはくれないのですから。

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