このブログではプロパガンダ、情報操作について様々に書いておりますが、これはビジネス上のマーケティングに応用することができます。
広告として使われる言葉やイメージとプロパガンダ(政治的宣伝)で使われる言葉には「説得」という目的があります。
ビジネスで使われる説得の目的は対象(ターゲット)に「購入させる」ことであり、プロパガンダの説得の目的は「意図した方向に誘導すること」です。
ところで、広告でよく使われるフレーズと、プロパガンダで使われる共通点はどの程度存在するのでしょうか。
基本的に「説得」とは次のメッセージ的要素であって、段階的に表したものに報酬が与えられているものを指します。
1 メッセージは受け手の”注意”を引きつけなくてはならない。
2 投げ掛けるメッセージに含まれる”論点は、十分に理解されなくてはならない。”論点が把握されなければ説得効果は生じない。
3 受け手はメッセージに含まれる論点を”学習”してそれらを真実だと思い込まなければならない。
4 メッセージの受け手は「誘因が存在すれば、それまでに学習された知識や信念に基いて行動する」
参考:カール・ホブランド
「理想的な説得」というものは、
「説得を仕掛ける者の観点に同意するように受け手の思考を方向付けるのと同時に、そこで提唱されている行為に関する否定的な思考を妨げ、肯定的な思考を促進するもの」
と言えます。
この記事ではこれらを踏まえて考えてみたいと思います。
説得に使われる言葉たち
マーケティングやプロパガンダで使われる言葉というのは、特徴があります。
情報商材や動画のサムネイルによく使われるのは「暴露」とか「遂に!」、「衝撃!」といった煽り系の言葉がよく使われます。
一般的な商品やサービスの広告では、「いま」とか「やさしい」「発表します」「突然」といった言葉が使われている商品は良く売れる傾向にあります。
また言葉とは直接関係はしませんが、お客の目線の高さに並べられた商品も良く売れます。
広告マーケティングにしてもプロパガンダにしても「キャッチフレーズ」やタイトル、コピーライティングでは「フック」と言われる影響を与える対象の感情を揺さぶる言葉には非常に神経を使います。
ひとつのフックを決めるのに100語200語考える人もいます。
プロパガンダにおいては例えば「自民党をぶっ壊す!」とか「既得権益をぶっ壊す!」とか「構造改革」といったいわゆるワンフレーズポリティクスと呼ばれる使われ方が主流です。
これらに使われる言葉には、”使われ方”に大きな特徴があります。
「言葉を定義しない」
「抽象的である」
「感情的に肯定できる(主に恐怖という感情を利用する)」
といったものです。
例えば、国民を戦争に賛同させるには非常に簡単です。
「他国から攻撃を受けている(受けた)」
「正義のために反撃しよう!」
「これは神が与えた試練であり正義の戦いだ!」
反対者には「愛国心がない!非国民!」とでもレッテル貼りをしておけば口を噤むようになるでしょう。
日本人を戦争に向けさせるのであれば、私なら以下のような言葉を繰り返しメディア全般で使います。
反韓感情、反中感情を煽るだけ煽って
「大和魂を呼び起こせ!」
「あなたの家族、恋人、友達は”今のあなた”で守れますか?」
「日本人には大和魂がある、和の精神がある、そして何より武士道精神がある!日本人の誇りを取り戻そう!」
「あなたの幸せはあなたが守るしかありません」
と思いつきで書いてみましたが、概ねこれらのスローガンで各層に分けて仕掛け、そのメッセージを発する人間もアイドルだったり、政治家だったり、スポーツ選手だったりとわけることも必要になり、言葉以外にも映像やフェイクストーリーを織り交ぜ、「繰り返し」仕掛けます。
もちろん恐怖という感情は最大限に利用します。
現実問題として我が国はアメリカの植民地ですが、仮にアメリカがいなくなったところで中国に侵略されるだけですが。
メッセージの肝は、
「肯定的な意味を持っているものの、その言葉が使われる文脈では曖昧であるような言葉を使うこと」
です。
例えば、小泉純一郎が使っていたスローガンである、
「自民党をぶっ壊す」
という言葉は実際にはどのような意味を持っていたのでしょうか?
多くの人にとっては、「腐敗しきった自民党所属の政治家を追放してリフレッシュした自民党に改変する」ことだったと思いますが、違う人にとっては「小泉純一郎に反対する国会議員を追放して、自分が自民党を支配する」だったかもしれません。
結局はそれを聞く人の想像力に委ねられてしまうということがワンフレーズポリティクスやプロパガンダに起こるということになるのです。
このように広告、プロパガンダの世界では、言葉は「問題を定義するために使われる」ツールでしかなくなります。
説得されやすい「イメージ」
人気キャラクターを使うよりも、性的なイメージを掻き立てるものや、恐怖を煽るイメージの方が効果的です。
性的なイメージというのは使われ方としては「サブリミナル効果」として使われがちです。
サブリミナル効果とは潜在意識に働きかける心理効果で、対象はそれを認知できないものの深層心理にはプログラムされるというものです。
例えばディ○ニーアニメでは使われているようですね。
【画像】海外・国内で実際にあった サブリミナルメッセージ【広告編】
コンピューターおばあちゃんの、問題となった画像以外の例のシーンの画像を集めた
どういった目的でこのような演出をするのかと言えば、もちろん「利益」のためです。
宗教的な理由もあるのでしょうが、ビジネスの観点から言うとこれしかありません。
ディズニーアニメやコンピューターおばあちゃんというものは、基本的に子供向けに製作されたものです。
その子ども達に幼少期の段階から性をプログラムすることで物質的(性的)な欲望を求めるようになります。
すると、幼少期からディズニーアニメと共に育った人間というのは女の子であれば”潜在的に”白馬の王子様を夢見る女性に育ち、男の子であれば”潜在的に”セクシーな女性を求めるような男性に育つようになります。
すると、両性とも「消費に熱心な」人間が出来上がりやすくなるのです。
これは、あくまで持論ですが、あのディズニーがやっていることですからビジネス的に無意味である可能性は非常に低いでしょう。
この手法は短期的な効果と長期的な効果の両方を達成できる方法です。
だからこそサブリミナル手法は法律で禁止されているのです。
人間は理性的であろうとして合理化する
人間は、自分が粗雑であることを理性的な態度を取って他者に対しても、自分に対しても理性的に見せようとするという意味で、合理化する生き物です。
例えば、それまで信じていたものに明らかな誤りやとても共感できない意見や思想があった場合に、その対象の受け入れられる部分だけに焦点を当てて、自分を言い聞かすような状態です。
認知的不協和と言ったりしますが、正に認知的不協和理論とは人間が理性的に振る舞い、結果として合理的な態度を披露することです。
この心理状態が戦争の時に現れると以下のようになります。
「私達の国は”正義を貫く”フェアで理性的である」
という認知を前提に
「私達の国は罪のない無辜の民に危害を及ぼし、それに賛同していた」
は「認知」と「不協和」の関係になります。
我が国の場合であれば以下のようになるでしょう。
東京裁判史観の人の場合であれば、
先の大戦は、
「日本は侵略国家だった」と認知し、「アジア解放の為の自衛戦争だった」と不協和する。
いわゆる保守風な人の場合、
「アジア解放の為の自衛戦争だった、安倍総理が日本を救ってくれる」と認知し、「岸信介、吉田茂などがCIAエージェントだった、日本はアメリカの属国である」と不協和する。
ノンポリの日本国民の場合
「政治とか興味ないし知ったって無駄」と認知し、「自分の生活がどんどん圧迫される」と不協和する。
最後は「諦め」が生まれ、無関心、ニヒリズムに堕ちていき、後悔に変わります。
後悔すらしないかもしれませんが…
まとめ
「人々の心理を理解し、また十分に反復しさえすれば、”四角が本当は円である”と証明することは不可能ではない。
結局、四角や円とはいったい何なのか。それらは単に言葉であり、言葉というのは、「偽装した概念」をそれに纏わせるようにして作り上げることができるのである」
これはあの有名なナチスの宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスの言葉です。
広告とプロパガンダの共通点ということで書いてみましたがいかがでしょうか。
洗脳はエンターテイメントの顔を持つで掲載したプロパガンダポスターなんかを見ると様々な共通点が確認できるかと思います。
自分が持つ認識は”誰かにとって都合の良い認識”であることが多くあるということを理解することは非常に重要なことです。