先日、以下の記事を書きました。
詳しくは記事をお読みになっていただければと思いますが、この記事ではタイトル通り、なぜ、安さを売りにすると社会が壊れるのか説明しています。
とは言え、読み返してみたところ少しイメージしづらいかとも思いましたので、具体的なこと、ミクロな部分も含めてご説明したいと思います。
そして、この記事では”奴隷大国日本”と題してその理由などを書いてみようと思います。
デフレビジネスと下請けいじめ
下請イジメについては上の記事を参考にしていただければよいかと思います。
この記事でも書いてはいるのですが、デフレと下請イジメは連関した問題です。
我が国の経済成長率は20年以上も横ばいでした。
ということは、「誰かが成功するためには、誰かから奪わなければ達成されない」ということになります。
全体のパイが増えていないのだから当然です。
「誰かからどのように奪うか?」という活動が、デフレ経済下での企業活動とならざるを得ない現実があるのです。
それを、「マーケティング」と言ってみたり、「効率化」と言っているに過ぎません。
もちろん、これはマクロで経済を観た場合の話ではあります。
しかし、効率化とか民間の活力といった言葉が踊り、生産を増やしても、結局成長はしなかったという事実は揺るぎません。
この20年で経済成長率が毎年2%でも成長していれば、少なくとも民間同士での奪い合いは現在ほど激化していなかったでしょう。
民間同士の競争に敗けても需要はあるので再出発はしやすいはずです。
そういったデフレ経済の中で生まれたビジネスが、「安さを売りにする」デフレビジネスなのです。
安さを売りにするということは、「消費者が安さを求めている」ということであり、その安さで消費者に提供するには、安く仕入れなければいけません。
例えば、1杯500円の牛丼にかかるコストは、人件費、材料費、店舗運営費、配送費、光熱費、備品費(箸など)、様々あるわけですが、この500円の中から各コストの支払いが行われ、最終的に会社の利益となります。
その利益を増やしたいと思ったら、また、やむを得ないコストの増加に対し、普通は販売価格の500円を600円に上げようとか、価格を上げることになりますが、デフレ期におけるデフレビジネスの場合は、「売れないからコストを削ろう」という結論になってしまうのです。
なぜなら、「消費者が安さを求めているから」です。
すると、先程挙げた各コストにかかる材料の品質の低下や労働者の待遇悪化、取引企業への圧力が行われることになりやすいのです。
食品会社も、配送会社も、労働者にしてももちろんそれは「契約上の取引」です。
取引とは基本的には対等なものですが、デフレ期における取引は、「買い手市場」なので交渉力は買い手の方が強力になります。
例えて言えば不景気が買い手に下駄を履かせているということです。
売り手としては、デフレ期だと取引相手を探すのに苦労し、そのコストを考えたら、買い手の無理な要求も飲んでしまうことが多分にあります。
そして、以下の記事に書いたような「下請イジメ」が発生してしまうのです。
犯罪じゃないかって話ですが、人間とは組織に属し、立場を与えられるとどこまでも冷酷になれる生き物ですので、なんら不思議はありません。
現代日本の”奴隷”階級
以下が現代日本における奴隷階級です。
外国人労働者
派遣労働者
個人事業主
なんとなくわかると思います。
外国人労働者は、一応のところ、「実習生」という名目で入ってきていますが、あくまで名目に過ぎず実態は「移民、外国人労働者」です。
彼らは安い給料で働かされても本国よりはマシということで受け入れてしまいます。
”実習生”は基本的に物価の低い国が本国という人が多いです。本国に送金すれば、家族は大喜びでしょう。
その影響で、日本国民の賃金、所得の伸び悩みがあるのですが、まずこういったことは報道されません。
報道したら、「グローバリズムは善」という論理が崩壊しますし、企業が外国人労働者という安い労働力を求めている以上、企業の飼い犬であるマスメディアが報道すること自分の首を締めることにもなります。
派遣労働者は言うまでもありません。
あなたに娘さんがいたとして、娘さんの結婚相手が派遣労働者だったとしたら快く結婚を認めますか?ということです。
良ければいいですが、そういった方はそんなに多くはないという印象を受けます。
やっぱり大事な娘に苦労をさせたくないというのが親心でしょうし、何より心配です。
しかし、これが「雇用の流動化」、「自由な働き方」の美名の下に行なわれた政策なのです。
人材派遣などというビジネスはただのピンハネでありカタギの商売ではありません。
社会的意義がほぼ皆無というところから、完全に人身売買です。
その人材派遣業界のトップの企業が政府の諮問会議に名を連ねているというのですから、目も当てられないのです。
何万人の人生を狂わせたか、壊したか、自殺に追い込んだのか、そういったことを考えると悲しくて仕方がありません。
派遣労働者のことを現代の奴隷として経営者が思っているということを知ってください。
個人事業主は主に、「業務委託契約」という仕事の完成を目的とした民法上の「請負」という契約方式で、仕事を受注し、期日までに納品するというものです。
しかし、業務委託契約を「人材派遣」のように利用する、悪徳な企業が存在します。
それは、小さな会社ではありません。
大手、大企業と呼ばれるような、上場企業ですらこの脱法的業務委託契約を結んでいるのです。
私が、見たものをお話しますが、この俗に言う「偽装請負」は運送の業務委託で行なわれています。
業務委託契約である以上、内容と過程ごとに料金が決まるので、自己の裁量で仕事をすることが前提なのです。また、時間を元に算出されることもあり得ません。
現場で荷主から指示を出すとか、指示を受けるということはあり得ず、当然断っても良いはずですが、悪徳な荷主というものは過積載だろうが、契約以外の仕事だろうがそのドライバーに指示するのです。
問題は荷主側も受託者である配送会社側も、下請法や公正取引法の存在を知らないから、あるいはデフレマインドになっており「断ったら仕事を切られる」と思い込んでいることです。
今どき、人手不足ですから切られたところでいくらでも仕事はあります。
業務委託契約を人材派遣のように使う「偽装請負」はデフレビジネスをしている企業、外国人労働者を雇っている企業、グローバル企業で行なわれることが多いので、是非確認して、「コンプライアンス」という言葉で責めてください。
下請法の利用
安さを売りにするビジネスは誰も幸せにしない
安さを売りにする以上、コストを如何に削るかが勝負になるのでブラック化、下請法違反が発生しやすいことから日本国民にとってこのようなデフレビジネスは、迷惑以外の何物でもありません。
デフレビジネスを行う企業で働く人間は、経営者からの洗脳やパワハラによる押さえつけなどで、「怒られたくない」という理由から、モラルもコンプライアンス意識も崩壊していることが多く、完全に思考停止状態に陥っている例が少なくありません。
当局が動かない限り、またそれを目撃したものが通報なり訴えるなりの行動をしなければ変わらないでしょう。
本来は内部告発が増えていくことが一番良いのですが、内部告発は割に合わないと言われる通り、信念のある者しか現状できないことになっています。
内部告発が割に合わないという時点で我が国日本というのは、ミクロで見ても「民主主義」ではないのです。
デフレが問題で、インフレ率を上げようと社会的要請があるのに、安さを売りに利己的な経営方針を貫くことは、企業の社会的責任を放棄し、企業の社会的公器性も無視しているという言わば、反社会的勢力に成り下がります。
デフレビジネスをしている企業はそこに全く気付いていないのか、知ってて労働力を使い捨てにしているのかわかりませんが、今後彼らが必要とする労働力は、外国人労働者しかありません。
冷酷、極悪、悪徳、不誠実、虚言、無能、全てを網羅した総理大臣も珍しいです。
まとめ
我が国全体のモラルの低下は由々しき問題です。
尊敬できる金持ちがいなくなったのはこういったことなのでしょう。
今回、外国人労働者、派遣労働者、個人事業主を「奴隷階級」と表現しましたが、なぜこのような表現をしたのか考えていただきたいところです。
理不尽や不条理に怒りを表すことは何も悪いことではありません。
むしろ人間の美しい部分であり、尊いことです。
それを放棄すれば、必ず、あなたの心と共に魂が殺されます。
そんな人間ばかりだから、現状の日本国は、エリートがカスなのでしょう。
我が国はいつから発展途上の共産国になったのでしょうか?