なぜ、同じ広告やプロパガンダが繰り返されるのか?

なぜ、同じ広告やプロパガンダが繰り返されるのか?

テレビや新聞などのマスメディアの広告やプロパガンダは常に”繰り返す”という手法を使っています。

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プロパガンダの肝とは何なのか?

実際、日用品を買いにスーパーなどで買い物する時は、意識せずに”馴染みの商品”を手にとっているという経験がある人も多いと思います。

政治家の選挙の際に候補、政党に票を入れるという「選択」と、この馴染みの商品を購入するという「選択」は基本的には同じ経過を経て行動に移されています。

この選択された行動に多大な影響を及ぼしているのが、

広告、プロパガンダにおける”繰り返し”という技術」なのです。

この記事ではこの辺りを考えてみたいと思います。

宣伝やスローガン、セールスポイントの反復は”親しみ”を生む

テレビのCMの中にはあまりにもしつこく宣伝してくるものがあります。

広告に対する意識調査でも、不満な点としてよく挙げられています。

非常に鬱陶しく感じます。

広告に対する意識調査–約70%のユーザーは行動データの収集を迷惑に感じている

しかし、視聴者が非常に鬱陶しく感じているのにも拘らず、広告主はそれを”やり続ける”のでしょうか?

これには様々な見方があります。

ビジネスの観点で言えば、「多様なマーケティング目標を合理的に達成させることに寄与する」ということが挙げられます。

例えば、視聴者が繰り返し宣伝を見ることによって、まだ見ていなかった消費者にその商品を認知させることができたり、既にその商品を認知している消費者には、ブランドの価値を思い出させることができます。

他にはコストの問題があります。

新しいスローガンや広告の制作コストを考えると経費削減が主流の世の中では、同じ広告を繰り返し使うことに経済的な合理性があります。

費用対効果を高めたとしても、消費者を”説得”し”購買行動”に効果を発揮しなければ意味はありませんが。

心理的な観点で見るとこの繰り返しという手法は「親しみ」「馴染み」を消費者の心理に刻み込みます。

先ほど挙げた例で、日用品をスーパーに買いに行く時に馴染みのものを購入しますが、なぜ馴染みがあるかと言えば、「過去にも購入した」とか「CMで知っている」とか「友人が使っていて奨められた」とかでしょう。

そうだとしたら、テレビCMや広告の放映回数が増加すればそのCMによってある商品を繰り返し見聞きした消費者はその商品に慣れ親しむことになり、売上も増加するということが論理的には言えることになります。

これは心理学的にはミシガン大学のロバートザイアンスが提唱した「単純接触効果」という心理効果がこの親しみを生んでいると解すことができるでしょう。

ロバート・ザイアンス

何度も会っていると好きになるというアレです。

また、「知らないものを買うより、知っているものを買うほうがリスク(ストレス)を感じない」という効果もあるでしょう。

得をしたいという感情よりも損をしたくないという感情の方が強いというプロスペクト理論も同時に考えれば辻褄が合います。

大手企業が多大な経費を掛けて広告としてテレビCMを利用する理由はこの辺りにあるのでしょう。

我が国の場合、テレビCMを流したいと考えた場合には必ず、広告代理店「電通」を通さなければいけないという、我が国特有のマスメディアの構造があるので、宣伝によって売上が上がるからという目的のためだけでは無いとは思いますが。

繰り返しの威力をゲッベルスが最も理解していた

プロパガンダを語る上で彼の名を知らない人はいないであろうナチス・ドイツの宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスは、以下の主張を前提にしていました。

「大衆は、最も慣れ親しんでいる情報を”真実”と呼ぶのである」

この主張を前提とした以下のような言葉も残っています。

「一般市民は、私達が想像する以上に原始的である。したがって、プロパガンダは常に単純な繰り返しでなくてはならない。

結局、諸問題を簡単な言葉に置き換え、識者の反対をものともせずに、その言葉を簡明な形で繰り返し繰り返し主張し続けることができる人だけが、世論に影響を与えるという最終的な結果を残せるのだ」

実に含蓄のある言葉です。

これは、何かを成し遂げることにも共通しているように思えます。

愚直に地味なことをずっと継続し、止めないことが結果に結びつくという真実です。

単純なメッセージやイメージ、スローガンを繰り返すことで、世の中の知識や認識、考え方を生み出し、真実を定義することまでできるのです。

ヨーゼフ・ゲッベルスが警告したこと〜プロパガンダの天才が危惧した未来〜

まとめ

なぜプロパガンダや広告に繰り返しという技術が使われているのかということを説明しました。

視聴者、消費者の親しみを生み、意図する方向に誘導、選択をさせることができるからと言えます。

もちろん、しつこい広告が過ぎて、「不買」という選択を取るということを広告主も理解しています。

擦り切れ」と呼ばれる現象ですがこれは、よく煽り系のタイトルが使われている広告や記事に多く発生するように見受けられます。

繰り返し訴えられる宣伝を見かけたら、注意しつつ、誘導されないという意識が重要なのかと思います。

テレビっ子の母に「そんな見方をしたらテレビがつまらなくなる」と言われましたが、母の世代は非常にテレビの影響力が大きいので無理かもしれません。

テレビが生まれてからこの方、我が国はどんどん壊れていっているということに国民が気付くことを切に願っております。

参考:

プロパガンダ 広告・政治宣伝のからくりを見抜くーA・プラトカニス/E・アロンソン

パターンの異なる広告への反復接触が 商品の好感度に及ぼす効果 ― 潜在的測定方法による蓄積的効果を踏まえた心理学的検討 ―

動的反復露出手法による購買行動への影響および潜在需要の顕在化効果について -インターネット行動ターゲティングの広告効果に関する研究-

 

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