よく「数字は嘘をつかない」と言われます。
プレゼン資料でも大抵数字やグラフを使って説明をし、聞き手の不安を払拭させるように努めます。
数字を用いて説明されることでなんだかわかった気になったり、安心したりすることがあります。
「数字が証明している!」なんて言葉が決め台詞にもなるほど数字は常に公平で客観的といった”イメージ”があります。
このように数字には一定の説得力があるので、数字に弱い人はもちろん逆に数字しか信用しないという人でも、数字の持つマジックには気が付かないことがあります。
この記事ではそれを説明したいと思います。
見せ方でイメージは変わる
以下のリンクは財務省のページですが
以下のようなグラフになっています。
これは国債発行残高のグラフですが青い方が建設国債、赤い方が特例公債となっています。
橋や道路などを作る際には建設国債が発行され政府は資金調達します。
特例公債というのはいわゆる赤字国債と言われる税収の不足分を補う為に発行される国債です。
このグラフを一見すると全体の国債発行額が増えていること、建設国債が非常に多く発行されているように見えます。
ですがよくよく建設国債の発行残高と特例公債の発行残高を比較すると、建設国債は特例公債の上に表示されている為に「建設国債の発行残高が増えている”よう”に見える」ということと、特例公債の発行残高が平成9年以降、右肩上がりで増えていることがわかります。
次に私が官公庁のウェブページから引用して適当に作ったグラフを見て下さい。
次に全く同じの緑の部分を入れ替えたグラフです。
このグラフの元になった数字はこちらのリンクからの数字です。以下のグラフの緑の部分の印象はどのように変わってくるでしょうか。
緑の部分が入れ替わるだけで全く違う印象を見た人に与えることが出来ます。
このテクニックが財務省のグラフでも使われているのです。
建設国債がいかにも大きく見えるように印象操作をしています。新聞やテレビで建設国債が上の段で表示されているグラフを私は見たことがありません。
他の手法としては、「サンプルを変える」という手法があります。
最近こういったニュースがありました。
6月の名目賃金確報値3.3%増、速報値から縮小 毎月勤労統計
最近ではこのように実質賃金が上がったという報道があり、その中身を調べてみると企業サンプルを変えたり、という「統計手法の変更」があります。
恣意的にサンプリングする企業を変えれば当然、結果も恣意的に変わります。
どのように数字のマジックを見破るか?
情報操作やプロパガンダにこの手法は用いられていますし、非常に厄介な「数字のマジック」です。
以前書いたこの記事で他の情報操作術を書いていますので参考にしてみてください。
見破り方としてはまずそのグラフなりデータなりを見て自分がどう感じたか、自分の感情がどう動いたか観察してみてください。
その時に「やべーじゃん!」とか「とんでもないことだ!」のような感情が湧き上がったら、そのデータをこれらの視点で細かく観ていくことでこういった「テクニック」が使われていることに気づくことが出来ます。
テレビなんかで池上彰が経済とか国際情勢などをテキトーに説明している時に、
挿入されている「え~っ!!」みたいな観客の声の効果音の部分に注意してみてください。
これは「え~っ!!」と”思わせたい”メディア側の印象操作であることは間違いありません。
それとやはり、情報というのは前提として疑ってかかった方が良いということがあります。
特に主要メディアの情報に関してはハナから信用しないで突っみどころを探すための練習ぐらいに思っておけばテレビも有益となります。
私はテレビを観る時はどのように誘導させたいのか?、CMを観てどのような広告技術が使われているかを観ています。
そうするとカスみたいなマスメディアの情報も役に立ってくれるのです。
情報操作、プロパガンダについての記事は以下になります。
まとめ
結局数字も、「見せ方によって」印象操作ができてしまうということです。
客観的な情報というものはこの世に存在しません。
「どれほど客観的な情報に近いか?」
ということでしかないので、真実は各個人の脳にあると言えるのです。
このように我が国は公的な数字や公文書の改ざんを行っても罰せられない国ですので、あまり官公庁の出すデータも手放しで信用するべきではないでしょう。